三菱航空機と三菱重工業(7011)は12月24日、国産初のジェット旅客機「MRJ」の引き渡し開始を2018年中ごろに延期すると発表した。量産初号機を受領する全日本空輸(ANA/NH)にとって4度目の延期となり、これまでの2017年4-6月期より1年遅れる。(ANAホールディングスのコメントを追加しました。15年12月24日 17:52)
MRJは11月11日、飛行試験初号機(登録番号JA21MJ)が初飛行に成功。その後、19日に2回目の、27日に3回目の試験飛行を同じ機体で行っている。
これまでの発表では、初号機は2016年4-6月期をめどに、米ワシントン州モーゼスレイクで飛行試験を開始。5機の飛行試験機で試験を進め、2017年前半には機体の安全性を証明する、国土交通省航空局(JCAB)による型式証明を取得し、2017年4-6月期に量産初号機をANAへ引き渡す計画だった。
ANAを傘下に持つANAホールディングス(9202)では、主に今後退役するボーイング737-500型機(126席)の運航路線に、MRJの投入を計画している。11月27日時点で737-500は18機保有しており、MRJは25機(確定15機、オプション10機)を2008年3月27日に発注している。
ANAホールディングスの片野坂真哉社長は、今年4月のAviation Wireのインタビューに対し、「“二度あることは三度ある”と言うが、だから三度あった。「四」ということわざはないので、4回目はないだろう」と、期待感を示していた。
ANAホールディングスは24日、「初号機の納入が1年程先延ばしになったことは非常に残念だが、安全を第一に万全なる準備の上、完成度の高い機体が納入されることを願っている」とのコメントを発表した。同社は納期について「4-6月期から7-9月期になると理解している」との見解を示した。
*会見詳報「MRJはなぜ納入遅れになるのか」はこちら。
*ANAホールディングスのコメントを最終段落に追加しました。
15年12月24日会見の詳報
・岸副社長「経験不足」特集・MRJはなぜ納入遅れになるのか(15年12月25日)
写真特集・半世紀ぶりの国産旅客機
・離着陸で歓声あがるMRJ初飛行(15年11月17日)
初飛行に成功
・MRJ、初飛行時の動画 コックピットや飛行中(15年11月30日)
・MRJ、初飛行成功 離陸の瞬間「飛びたいと言っているようだった」(15年11月11日)
名古屋空港を離陸。初飛行へ
・MRJが初飛行 YS-11以来53年ぶり、”11″並びの日(15年11月11日)
ANAホールディングス片野坂社長インタビュー
・MRJ「製造中止まっぴらごめん」(15年4月18日)
特集・MRJ、それぞれの初飛行(全3回)
(3)787も携わったANA小林部長「必ず飛ぶ。心配していなかった」(ANA編)(15年12月11日)
(2)MRJの型式証明携わる航空局審査センター川上所長「今はソフトが飛ばしている」(国交省編)(15年11月17日)
(1)大宮会長「初めて通園する我が子のよう」(三菱重工編)(15年11月14日)
1年前にロールアウト
・ベールを脱いだMRJ 写真特集・息のむ美しき国産旅客機(14年10月20日)
・MRJ、初号機がロールアウト 夢から現実へ(14年10月18日)
【お知らせ】
見出しと1段落目を「2018年4-6月期」から「2018年中頃」に変更しました。