エアライン, 空港, 解説・コラム — 2015年12月15日 12:00 JST

ハワイ旅行「日本が突出」ハワイアン航空上級副社長インタビュー

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 羽田-ホノルル線が就航5年周年を迎えたハワイアン航空(HAL/HA)。平均搭乗率は90%超と好調だ。羽田空港の再国際化直後の2010年11月、米国の航空会社として初めて就航し、現在は羽田と関西空港、札幌(新千歳)の3空港に乗り入れている。

 2016年7月23日からは成田へ就航。1日1往復で、機材は羽田・関空便と同じエアバスA330-200型機(294席:ビジネス18席、プレミアムエコノミー40席、エコノミー236席)で運航する。

 2016年4-6月期(第2四半期)には、ビジネスクラスにフルフラットの新シートを導入した改修初号機を就航させる予定で、日本路線にも順次投入していく。

 来日したテオ・パナジオトゥリアス上席副社長は、「売上高の25%を占める国際線事業のうち、日本市場はもっとも割合が大きい」と、日本路線の重要性を強調する。

ハワイアン航空のパナジオトゥリアス上席副社長=12月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
日米交渉は建設的
優先レーンより高付加価値商品
アライアンス加盟の可能性
コナ線の行方

 パナジオトゥリアス氏に、日本やアジアでの戦略やハワイ島コナ空港への日本路線開設の可能性などを聞いた。

日米交渉は建設的

── 日米航空交渉は、羽田の昼間時間帯利用について決着がつかなかった。現在よりも早い時間帯の発着枠が取れた方が良いか。

ホノルル空港で出発を待つハワイアン航空のA330=15年4月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

パナジオトゥリアス氏:もちろん。お客様の利便性を向上できるものであれば、検討したい。

 両国政府はこのことを認識しており、重要な要素となっている。(交渉に同席していた立場として見ると)両国は前向きで建設的な交渉をしていた。

── 現在の羽田出発は午後11時55分。何時に出発するのが良いと思うか。

パナジオトゥリアス氏:今の出発時間であれば、ホノルルには正午過ぎに到着し、ホテルのチェックインは午後3時ごろ。現状も良い時間だと思う。

 ビジネスとして成功するためには、お客様が望む時間帯を提供していきたい。

── 羽田路線が好調だが、どういったサービスが評価されていると感じているか。

パナジオトゥリアス氏:本物のハワイ体験を飛行機に乗った時から体験できることだ。お客様からもその点を評価していただいている。これが大きな要素になっていると思う。

優先レーンより高付加価値商品

── ハワイアン航空のリピーターは、どのような状況か。

パナジオトゥリアス氏:非常に多い。お客様にとってハワイへ行くことは非常に重要なことだからだ。

 新婚旅行や家族の休暇など、1週間ハワイで過ごすことはワクワクすることだ。飛行機に乗るところからハワイを感じられることが、高いリピート率につながっていると考えている。

ハワイアン航空がA330に導入するビジネスクラスの新フルフラットシート(同社提供)

── 羽田空港ではビジネスクラス客が保安検査場の優先レーンが使えない。今後どうしていく方針か。

パナジオトゥリアス氏:我々の考え方として、こうした部分に投資するのであれば、高付加価値商品に投資すべきという方針だ。

── ビジネスクラスよりも、エコノミークラスの利用をより重視しているのか。

パナジオトゥリアス氏:ビジネスクラスはフルフラットの新シートに投資しているので、重視していることは理解していただけるだろう。

 おっしゃる通り、我々はエコノミークラスも重視している。このため、プレミアムエコノミークラスの「エクストラ・コンフォート」を充実させており、座席数も現在の40席から68席に増やす。

 エクストラ・コンフォートは足もとが20%広くなり、片道1万4000円でアップグレードできる。非常にユニークな価値を提供していると思う。

── 福岡と仙台から撤退したが、首都圏以外のハワイへの需要をどう見ているか。

パナジオトゥリアス氏:時間が掛かることだが、現在札幌路線の市場を開拓している。来年の第1四半期は非常に強い需要が期待される。

 残念ながら仙台と福岡は計画を変更しなければならなかった。ビジネスを成功させるためには、市場でさまざまなことを探る必要がある。上手くいかなかった路線もあるが、より多くの路線で成功を収めている。

アライアンス加盟の可能性

── 現在全日本空輸(ANA/NH)とコードシェアを実施している。日系航空会社とのアライアンスや、ジョイントベンチャーは検討しているか。

パナジオトゥリアス氏:ANAとの関係は、徐々にステップを踏んでいるが、今までのところ、これまでの状態で進めていく。

 既存のパートナーシップの拡大などは検討していく。

羽田発ホノルル行きに搭乗する乗客。ハワイアン航空は当面アライアンスには加盟しない方針だ=15年10月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

── アライアンスは魅力的なシステムか。

パナジオトゥリアス氏:2社間の関係では魅力的だ。パートナーシップは重要であり、他社のネットワークに接続できる大切だ。

 複数の航空会社とパートナーシップを結んできたが、今のところ大きなアライアンスに加盟することはない。

── アジア戦略はハワイアン航空単独で進めていくのか。

パナジオトゥリアス氏:就航国の拡大は、主にアジア太平洋地域で進めてきた。パートナーシップは益々重要になってくる。

 我々が国際線事業を拡大していく中で、ANAやヴァージン・オーストラリア(VOZ/VA)など他の航空会社とのパートナーシップは、今後深化し発展する重要なものだ。

── 中国市場は国際線事業を進めていく上で成長が見込まれるが、どのような認識か。

パナジオトゥリアス氏:当然ながら急成長しているが、我々のビジネスでの認識やブランドの強み、ハワイに対する親近感を考えると、中国より日本のほうが強い。

 成長率は極めて高いが、旅行者の絶対数は世界市場で日本が突出している。

コナ線の行方

── ハワイ島コナ空港への路線はどのように考えているか。

日本人の多くが最初に訪れるハワイはワイキキだ=14年12月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

パナジオトゥリアス氏:まず、羽田に発着枠がない。もし状況が変わり、羽田-コナ線を開設できるようになるのであれば、我々は強い関心を持っている。

 実現できる状況とコミットメントがあれば、(日本-コナ線再開を目指す)ハワイ州の支持も得られるだろう。

── 日本人の多くが最初に訪れるのはオアフ島だが、今後ハワイをどうアピールしていきたいか。

パナジオトゥリアス氏:旅行代理店と共に、オアフ島からハワイ島やマウイ島を巡る旅を、いかに彼らの旅行商品が組み込めるかだ。

 特にリピーター向け商品で進めている。新たな体験を加えることで、新鮮味を保つことができるからだ。

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ハワイアン航空

パナジオトゥリアス氏来日時の会見
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