羽田空港国際線ターミナルを運営する東京国際空港ターミナル(TIAT)など4社は12月3日、同ターミナルで情報ユニバーサルデザイン(UD)の高度化に向けた共同実験を開始した。音と光、画像、無線を使用して、訪日外国人や障がい者らを誘導する。2016年3月31日までの実施で、国内線ターミナルでも展開する。
参画するのはTIATのほか、国内線ターミナルを運営する日本空港ビルデング(9706)と日本電信電話(NTT、9432)、パナソニック(6752)の計4社。訪日客向けには、スマートフォンを看板や料理サンプルに向けると、案内や原材料名を外国語で表示する機能を提供。視覚障がい者には、トイレやエスカレーターなどの場所を、聞き取りやすい周波数で明瞭化して伝える。また搭乗口などの案内を、利用客が滞留しそうな場所にプロジェクションマッピングで表示。動的な案内表示を使用することで、利用客の滞留を防ぐ。
NTTは画像やビッグデータ解析、音声処理技術を実験し、精度の向上を図る。パナソニックは看板やデジタルサイネージなどに埋め込まれた発信器から情報を取得し、認知度の効果を検証する。スマートフォンなどが発信する電波を受信し、位置情報を把握する「ビーコン」を使用し、スムーズに誘導できるかも実験する。
羽田空港は旅行者を適切に誘導するために、空港内の情報UD化に取り組んでいる。一方で訪日客の急増により、多言語対応や混雑時のスムーズな誘導などが求められており、これまでの固定的な案内サインや対面案内だけでは対応が困難になっていたという。
今後、2020年の東京五輪・パラリンピック開催に向けて、技術の実用化や開発、実証実験などに着手。他空港への展開など、共同実験パートナ企業の参画を呼びかける。
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羽田空港国際線旅客ターミナル
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