エアライン — 2015年12月1日 23:50 JST

ソラシド、社名とブランド統一 首都圏の認知向上へ「メイク・ワンダー!」

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 ソラシドエア(SNJ/6J)は12月1日、社名変更を実施した。従来のスカイネットアジア航空から、ブランド名と同じソラシドエアに統一した。

 同社は1997年7月設立。宮崎県に本社を置き、2002年8月1日に1路線目の羽田-宮崎線が就航した。4年前の2011年7月1日からは、「空から笑顔の種をまく」をコンセプトとして、「空=ソラ」と「種=シード」を掛けたブランド名「ソラシド エア」を導入している。今回社名を「株式会社ソラシドエア」、英語表記は「Solaseed Air Inc.」と改め、統一を図った。

社名変更と同時に新キャッチフレーズ「メイク・ワンダー!」を打ち出したソラシドエア=12月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

「LCCとの差も認知されていない」

 髙橋洋社長は1日午後、東京・羽田のオフィスで社員に向け、「16年間慣れ親しみ、いろいろな思いのあるスカイネットアジア航空から名前を変え、第2のスタートをする」と宣言した。

羽田のオフィスで新キャッチフレーズ「メイク・ワンダー!」の掛け声とともに決意を新たにするソラシドの社員=12月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

高橋社長(右)の訓示を聞くソラシドの新人客室乗務員=12月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 「利用者からは、客室乗務員や空港旅客係員のホスピタリティーを評価されているが、国内最大のマーケットである首都圏や関西などでは、LCCとの差も認識されていない」と、認知度の低さに対する危機感を社員に訴えた。

 社名変更と同時に、キャッチフレーズ「メイク・ワンダー」を新たに打ち出した。「驚きであり、感動であり、ワクワク感を一人でも多くの人に感じてもらい、大手にもLCCにも負けない、新しい世界を作りたい」(髙橋社長)と述べ、「メイク・ワンダーの中身を考えるのは、社員ひとり一人。750人の力を結集し、1万人、2万人の社員がいる大手航空会社にも負けない結果を実現したい」と語りかけた。

社名変更は「最大のチャンス、社員の意識改革」

 羽田のオフィスで報道関係者向け説明会を開いた髙橋社長は、大手2社やLCCと異なる第3のポジションについて、「大手の信頼感や、LCCの値ごろ感に代わる価値観を打ち出したい」と語った。「ファッションであれば、ハイブランド(大手)とファストファッション(LCC)に対するセレクトショップ、自動車ならセダンとコンパクトカーに対するSUV(多目的スポーツ車)を、航空の世界でも挑戦したい」と抱負を述べた。

ソラシドの機内で用意しているブランケットとクッション=15年9月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 「九州・沖縄では認知されてきているが、首都圏の知名度はさまざまな調査結果で格段に低い」(髙橋社長)と、需要が見込める首都圏での認知度の低さに言及。社名変更を「最大のチャンスで、社員の意識改革でもある」と、狙いを語った。

 髙橋社長は、これまでの認知度向上の施策について、「地方にこだわるあまり、首都圏に掛ける割合が低かった」と振り返った。

 また、社員のホスピタリティーの高さから、「乗客の3分の1が子供連れのお母さんとなることもある」と事例を挙げ、一度利用してもらえれば良さをわかってもらえるものの、知名度の低さが首都圏発の利用につながっていないとの見方を示した。

 帰省などで利用する子連れの母親が多いことなどから、同社は2014年11月から女性向けサービス「ソラ女子」をスタート。ブランケットは、国内の大手航空会社がビジネスクラスで使用しているものと同じ素材のものに刷新し、シートと同じ生地を使ったクッション、子供連れ優先席や女性優先トイレなどのサービスを提供している。

 髙橋社長は「年配の方や妊婦さんにクッションは好評だが、女性優先トイレはビジネスマンから厳しい批判もある」と現状を説明し、「うまく整理し、一定の価値を生み出したい」と語った。

羽田-那覇「開設できれば非常に良い」

 ソラシドは現在、国内線10路線を12機のボーイング737-800型機(1クラス174席)で運航。羽田から宮崎、熊本、長崎、鹿児島、大分の5路線、那覇からは宮崎と鹿児島、神戸、中部(セントレア)、石垣の5路線が就航している。

社名変更の狙いを「最大のチャンス、社員の意識改革」と説明するソラシドの高橋社長=12月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 737-800の平均機齢は2.5年。内装はLED照明など787型機と同等のものを取り入れ、手荷物収納棚も大型化した「ボーイング・スカイ・インテリア」を採用している。また、シートピッチを他社より広くし、差別化を図っている。

 新路線の計画について、髙橋社長は「現時点で確度の高いものはない」と述べ、「(機材を)12機ギリギリで回している。羽田は発着枠がタイトなので簡単ではなく、地方と地方を結ぶ路線も(採算面で)厳しい」と語った。

 一方、機材繰りの観点では、羽田と那覇の2拠点体制であるソラシドにとって、羽田-那覇線がないことが、機材運用の効率面で課題となっている。「羽田-那覇線は、開設できれば非常に良い」としながらも、羽田の発着枠確保や他路線の便数調整など、実現には難題が多いとの考えを示した。

 また、全日本空輸(ANA/NH)による支援で再建が進むスカイマーク(SKY/BC)は、羽田に次ぐ第2拠点として、神戸空港を活用している。羽田と那覇を拠点とするソラシドが、神戸から路線を拡大する可能性について、髙橋社長は「ライバルの動き方次第で状況が変わる。関西空港や伊丹空港との関係も含めて、神戸は可能性を見極めなければならない」と語った。

 経営面でソラシドは、2015年3月期通期決算で8年連続黒字を達成している。2015年4-9月期(中間期)決算では、純利益が前年同期比約2倍の9億4400万円となり、中間期としては過去最高益を記録した。

 上場の可能性について、髙橋社長は、「上場してもおかしくない水準を目指すが、上場が目標ではない」と述べるにとどめた。

 また、社名変更を契機に新サービスをスタート。三井住友カードとクレジットカード「ソラシドエアカード」を発行し、ゴールドカードと通常のカード(クラシック)を用意した。多頻度利用のゴールドカード会員には、優先搭乗などのサービスを2016年4月から提供する(関連記事)。ウェブサイトも刷新し、領収書発行にも対応した(関連記事)。

関連リンク
ソラシド エア

新サービス関連
ソラシド、ウェブサイトで領収書発行 社名変更契機に新サービス(15年12月2日)
ソラシド、三井住友とクレジットカード ゴールド会員向け優先搭乗も(15年12月2日)

ソラシド関連
ソラシド、初の国際チャーター 宮崎から高雄便出発(15年10月17日)
軍艦島一周や空港ローパスも 写真特集・ソラシドの長崎遊覧飛行(15年10月12日)
ソラシド、長崎で遊覧飛行 開港40周年、軍艦島や諫早湾上空飛ぶ(15年10月3日)
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ソラシド、東京新オフィスは羽田一望(15年7月24日)

決算関連
ソラシドの15年4-9月期、純利益が過去最高 ユニットコスト初の7円台(15年11月27日)
ソラシド15年3月期、純利益14億増で8年連続黒字 ユニットコスト8.5円(15年5月29日)

高橋社長インタビュー
「従来の延長ダメ。今年来年が勝負」ソラシド高橋社長に聞く(後編)(15年9月9日)
「首都圏で本当に知られていない」ソラシド高橋社長に聞く(前編)(15年8月31日)

【お知らせ】
新サービス関連を最終段落に追記しました。(15年12月2日 6:37 JST)

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