女性をはじめとする多様な人材活用を目指し、日本航空(JAL/JL、9201)は「JALなでしこラボ」をこのほど設立した。メンバーはJALグループ各社から募る。
毎年20人程度が参加し、子育てと仕事の両立など、男女を問わず組織横断的に課題の共有や人材活用の可能性を探り、研究成果をグループで共有する。10月2日からは、働き方を変える上で必要なスキルを身につける「スキルアップワークショップ」を約5000人のグループ社員を対象に開始した。
これに先立ち、7月には社内で「第1回 女性活躍推進とワークスタイル変革」と題したフォーラムを開催。講師にJALの社外取締役で、資生堂副社長を務めた旧労働省(現厚生労働省)出身の岩田喜美枝氏が登壇した(関連記事)。
岩田氏は、女性社員の優遇ではなく育成の重要性を説明。また、女性社員を部下に持つ男性も意識改革が必要だとして、「JALは女性に気を遣っているのがわかるが、間違っている部分がある」と指摘し、会社全体での意識改革を促した。
政府は女性活躍推進法の成立に伴い、2020年までに従業員が301人以上の企業や団体に対し、女性管理職の割合を30%以上に引き上げる目標を掲げ、最終的に50%を目指すとしている。301人以上の企業・団体は、2016年4月1日から女性の活躍推進に向け、行動計画の策定などが新たに義務づけられる。
2015年3月末時点で、JALグループ全体の社員はが3万1472人。このうち、男性が53.3%の1万6784人、女性が46.7%の1万4688人と半数近くを女性社員が占める。グループ全体の女性管理職比率は15.1%、JAL単体の課長職以上の女性は12.6%となった。
JALは2024年3月末までに、グループの女性管理職比率を20%以上、JAL単体では課長職以上の女性比率を15%以上を目指す。JALでは行動計画の策定などが義務づけられた301人以上の企業だけではなく、JAL本体と300人以下の国内企業を含む連結子会社44社で、目標値や行動計画をまとめた。
なでしこラボはJAL初となる女性の常勤取締役で、客室乗務員出身の大川順子専務を担当役員に据え、所長は人財本部人事教育担当の植田英嗣執行役員が務める。
大川専務は、「これまでの固定観念にとらわれず、社員が意欲的に働ける環境を整備するため、上司と女性自身の意識改革を行う。ワークスタイルの変革で、時間当たりの生産性を重視する企業風土を醸成したい」と話した。
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日本航空
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