日本航空(JAL/JL、9201)の植木義晴社長は9月30日、JALが出資するジェットスター・ジャパンの2015年6月期通期決算が、75億円の最終赤字だったことについて、「先が見えない状況ではない」と述べ、支援を継続する意向を示した。
ジェットスター・ジャパンが28日に公表した決算は、純損失が75億7100万円(前期は111億100万円の損失)。売上高が前期比44.3%増の419億8100万円で、営業損失は79億4500万円(前期は107億2900万円の損失)、経常損失は75億2900万円(同112億8500万円の損失)だった。
関西空港が2014年6月から第2ハブ(拠点化)として稼働し、機材の運用効率が向上したことや、国際線の関空-香港線と成田-香港線が就航したことから、「2014年7月から今年6月の平均ロードファクター(座席利用率、L/F)は76%と比較的高い。7月から9月は黒字の目途が立ったと聞いている」と期待を寄せた。
植木社長によると、8月のL/Fは90%弱、国際線2路線については95%だという。「国際線の新路線開設と機材効率化を進める」(植木社長)として、ジェットスター・ジャパンの事業展開に対する支援を継続する。
ジェットスター・ジャパンは、2017年6月期の黒字化を見込む。植木社長は「出来れば2016年6月期の黒字化という気持ちはあるが、急ぐことなく確実に進みたい」と述べ、「自信を持てる状態に変わった」と語った。
今後の増資は現時点で予定していないとしたが、「必要があればカンタスと話し、必要な増資であればやりたい」(植木社長)と述べた。
今年8月末には、カンタスとJALが50億円ずつ、計100億円(うち8月末に計70億円払込済)の増資を引き受けている。ジェットスター・ジャパンへの出資については「破綻企業が投資するのか」との声が、2012年9月19日に再上場し、企業再生支援機構の出資額3500億円の約2倍を国庫へ返納後も聞かれる。
植木社長は、「ある側面ではお借りしたお金を倍にして返したが、株主や金融機関などに大きなご迷惑を掛けたことも事実。それを踏まえて、我々は行動していかなければならない」と述べ、「利用者に恩返しできるようになることが、会社更生法を使わせていただいた企業が取るべき手段。必要な投資はさせていただくが、過大な投資は今は控えている」と理解を求めた。
関連リンク
日本航空
・ジェットスター・ジャパン、15年6月期は最終赤字75億円 JALとカンタス追加出資(15年9月29日)
・日航、初日終値3830円 支援機構「ダメな会社も再建できた」(12年9月19日)
【お知らせ】
8月末にカンタスとJALが払い込んだ合計額を追記しました。(2015年10月3日 10:00 JST)