国土交通省は9月15日、羽田空港と秋葉原の万世橋を船で結ぶ社会実験の報道関係者向け試乗会を開いた。
実験は19日から26日までの8日間実施し、羽田から都心部への船による移動の可能性を探る。同省の東京国道事務所万世橋出張所の職員らが、万世橋周辺の道路活用策として検討を始め、5月から地元の千代田区などとプロジェクト準備会の会合を開き、運航コースなどを決めた。
水辺の魅力訴求
国交省では、主に観光利用を想定しており、雨や風をしのぐ方法や料金など、定期化実現への課題を実験結果から検討する。
コースは羽田空港国際線ターミナルそばの多摩川沿いにある羽田空港船着場と品川区の天王洲、秋葉原の万世橋を結ぶ。空港の国際線ターミナルと船着場の間は、無料送迎バスを運行する。京浜運河や隅田川、神田川などを経由し、羽田空港と都心部を結ぶ最短ルートで、定期航路の設定は初めて。
見どころとして、1930(昭和5)年竣工の万世橋たもとにある船着き場や、大型船では航行できず、背の低い船で通る神田川などに掛かる30橋以上ある橋梁群などを挙げている。国交省では、訪日外国人にも、水辺からの東京の眺めを訴求したいという。
料金は羽田空港-秋葉原間が大人2900円(16日までに購入の場合。当日購入は3500円)、子供2000円(同2500円)、秋葉原-品川(天王洲)間は大人2380円(同3000円)、子供1500円(同2000円)、品川(天王洲)-羽田空港間が大人1620円(同2000円)、子供900円(1000円)。40人乗りで屋根のない運河船を、クルーズを手掛けるジール(港区海岸)が運航する。
8日間で1500人が実験に参加する予定で、採算性や参加者の動向を調べて改善点を洗い出す。参加者にはA4用紙1枚のアンケートを配り、楽しかった点や要望などを尋ねる。
即日完売で増便
乗船券は8月25日の発表と同時にほぼ完売し、予想以上の反響に国交省とジールでは驚いたという。9月10日発表の増便分も土日は完売。平日分のみ販売している。
実験にかかる費用は各事業者が負担し、行政側の予算はゼロ。国交省やジールのほか、羽田の船着き場や羽田空港の国内線ターミナルを運営する日本空港ビルデング(9706)、跡見学園女子大学などが参加する。羽田空港では、跡見学園の学生が参加者の案内などを手伝う。
同省総合政策局の佐藤寿延・事業総括調整官は、「雨風など課題はあるが、まずやってみる。乗ってもらうと気持ちよい」と話し、関係者間で調整がつけば、今回よりも長期間の社会実験を来春にも実施したいという。
今回使用する羽田空港船着場からは、お台場や横浜への航路が設定されているが、日曜日のみの運航。実験により、羽田から毎日運航する定期航路の可能性を探る。
関連リンク
羽田秋葉原運河探検クルーズ(ジールの予約ページ)
国土交通省
羽田空港船着場
天王洲ヤマツピア
万世橋船着場(PDFファイル)
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