企業, 官公庁, 空港, 解説・コラム — 2015年9月12日 21:40 JST

仙台空港、民間委託で新路線誘致 東急に優先交渉権

By
  • 共有する:
  • Print This Post

 国土交通省航空局(JCAB)は9月11日、仙台空港の運営権を売却する2次入札で、東京急行電鉄(9005)などで構成する東急前田豊通グループを選定した。2016年6月末に事業の完全移管を目指す。

東急グループへ運営権を売却する仙台空港=14年3月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 仙台空港は国が管理する「国管理空港」で、国に所有権を残したまま運営権を売却する「コンセッション方式」で民間へ委託する。委託する事業は、空港や航空保安施設の運営、環境対策、ターミナルビルや駐車場の運営など。期間は30年だが、運営者が希望する場合は最長65年まで延長できる。

 運営権売却後も、空港の土地や基本施設、航空保安施設などは国が所有。企業グループは新会社(特別目的会社=SPC)を設立し、運営にあたる。

次点は三菱地所グループ

 2次入札には、東急グループのほか、三菱地所(8802)などのMJTs、イオンモール(8905)などのイオン・熊谷グループの3グループが参加。審査委員会(委員長・山内弘隆一橋大大学院教授)による審査の結果、東急グループが161.5点でもっとも評価が高かった。

 東急グループは東急が代表企業で、前田建設工業(1824)と東急不動産(3289)、豊田通商(8015)、東急エージェンシー、東急建設(1720)、東急コミュニティーの7社がコンソーシアムに名を連ねる。

 2位のMTJsは代表企業が三菱地所で、羽田空港を運営する日本空港ビルデング(9706)と大成建設(1801)、仙台放送、全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(9202)で構成。得点は152.7点だった。優先権がある東急グループが契約締結に至らなかった場合は、次点となったMTJsに交渉権が移る。

 3位のイオン・熊谷グループは、イオンモールが代表企業で、イオンディライト(9787)と熊谷組(1861)が参画していた。得点は113.3点だった。イオンは空港近くに、イオンモール名取店を出店している。

民間委託で新路線誘致へ

 今後は月内に基本協定を締結し、運営権設定や実施契約を12月に結ぶ。12月から引き継ぎを開始し、ターミナルビルなどの事業を2016年2月に始め、6月末には滑走路の維持管理なども含めて完全移管する。契約が締結されれば、コンセッションにより運営権を民間委託する初の空港となる。

17年夏までに仙台空港を拠点化するピーチ=15年3月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 仙台空港の旅客数は、2007年の335万人をピークに減少傾向にある。滑走路などの基本施設は国、空港ビルなどは仙台空港ビル会社、空港内の駐車場は空港環境整備協会と運営が分離した状態で、一体的で機動性の高い経営ができていない。

 民事再生手続き中のスカイマーク(SKY/BC)は、神戸-仙台線を夏ダイヤが終わる10月24日までで運休し、撤退する。一方、LCCのピーチ・アビエーション(APJ/MM)は今年3月9日、仙台空港を2017年夏までに拠点(ハブ)化すると発表。運営権売却により、新路線の誘致を進めて利用増加を狙う。

 国内では、関西空港と伊丹空港もコンセッションによる空港運営権の売却が進められており、9月18日に最終となる2次入札が行われる。入札にはオリックス(8591)と仏空港運営会社ヴァンシ・エアポートの企業連合のみが参加しており、同連合が運営権を取得する見通し。

関連リンク
国土交通省
仙台空港
東急電鉄

仙台関連
スカイマーク、仙台撤退 10月に最終便(15年8月21日)
国管理27空港、新千歳と小松除き赤字 13年度収支(15年8月3日)
仙台空港で黙祷、あす大友克洋氏の壁画除幕式(15年3月11日)
ピーチ、仙台拠点化へ 国際線就航も(15年3月9日)
ANA、747-400卒業フライト 写真特集・仙台編(14年3月22日)
ANA、仙台と福島で747卒業フライト 両空港でローパスも(14年3月15日)

関空・伊丹関連
「45年は長すぎる」関空・伊丹運営権、期間短縮なるか(15年5月25日)
関空・伊丹の運営権、安藤社長「高すぎない」 EBITDA倍率は11.5倍(15年5月15日)

  • 共有する:
  • Facebook
  • Twitter
  • Print This Post