リージョナルジェット機「MRJ」を開発中の三菱航空機は現地時間8月3日、米シアトルに開発拠点を設置したと発表した。航空機産業の一大集積地であるシアトルに開発拠点を設けることで、MRJの開発を加速させる。
「シアトル・エンジニアリング・センター」(SEC)は、子会社の米国三菱航空機の技術部門として開設。SECではエンジニアリング会社のAeroTEC(本社・シアトル)と協働し、ワシントン州のモーゼスレイク空港で飛行試験などを実施する。米国での飛行試験は、2016年4-6月期(第2四半期)に開始を予定している。
SECは約100人のエンジニアを現地採用。日本からは50人程度派遣し、約150人のメンバーで運営する。
モーゼスレイク空港には、試験で必要となる長距離滑走路がある。定期便が就航していないため離着陸の自由度が高く、晴天率が高いことなどから拠点に選定した。
三菱航空機はMRJの飛行試験機を5機製造。2014年10月にロールアウト(完成披露)した初号機(登録番号JA21MJ)は、今年6月8日に走行試験を開始した。
残り4機については、赤いラインが入った2号機(JA22MJ)は機能試験を実施。黒いラインの3号機(JA23MJ)と赤と黒のラインの4号機(JA24MJ)は艤装(ぎそう)作業を進めている。3号機は一部の機能試験も実施している。ANA塗装を施す5号機(JA25MJ)は翼胴結合を進めている。
最終組立は三菱重工業(7011)の名古屋航空宇宙システム製作所(名航)小牧南工場で実施しており、2016年春に竣工予定の小牧南新工場は、月産10機に対応する。
初飛行は今年9-10月期、量産初号機の引き渡しは2017年4-6月期を、それぞれ予定している。
合計受注数は、確定受注223機、オプション160機、購入権24機の計407機。ローンチカスタマーで量産初号機を受領予定の全日本空輸(ANA/NH)のほか、国内では日本航空(JAL/JL、9201)が32機発注しており、2021年から受領を予定している。今年6月にフランスで開催されたパリ航空ショーでは、受注獲得に至らなかった。
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【お知らせ】
タイトル後半(サブタイトル)を変更しました。(2015年8月4日 20:49 JST)