防衛省は7月17日、陸上自衛隊の次期多用途ヘリコプター「UH-X」の開発事業者に富士重工業(7270)を選定したと発表した。米ベル・ヘリコプターと富士重が共同開発する。
UH-Xは、現在運用する単発多用途ヘリ「UH-1J」の後継機。UH-1Jは13人乗り(操縦員2、乗員11)で、人員や物資の輸送などに使われている。初号機は1993年度に、最終号機は2011年度に納入され、130機を保有している。最終号機契約の平均機体単価は約10億円だった。
UH-1Jは初号機納入から20年以上が経過し、単発エンジンであることや、メイン・トランスミッション内の潤滑油が抜けた状態で30分飛行できる「ドライラン能力」が欠けているなど、安全上の問題が大きく、退役が迫っている。
UH-Xの開発には、川崎重工業(7012)も仏エアバス・ヘリコプターズ(旧ユーロコプター)と組んで新規開発を提案。2社の提案について、実現可能性や納期、機体性能、国内生産・技術基盤への寄与、国内外の民間市場への展開、ライフサイクルコスト、陸自に対する補給整備上のポリシーと後方支援体制の構想の計7項目を評価したところ、富士重案の評価が高かった。
富士重はベルと共同開発する民間用双発ヘリを陸自向けに改修することで、開発コストを抑える。機体単価は約12億円で、2021年度末以降、20年間で150機を納入する計画。人員物資の輸送のほか、救難活動や災害派遣などにも使用する。
UH-Xの業者選定を巡っては、当初防衛省は川崎重工と2012年に契約を結んだが、陸自幹部が富士重の内部資料を漏らしていたことが発覚。2013年に陸自幹部9人が処分され、川崎重工は2カ月間の指名停止処分を受けている。
関連リンク
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Bell Helicopter
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