ボーイングは7月7日、中部空港(セントレア)で787-8型機の飛行試験初号機(ZA001、登録番号N787BA)の贈呈式を開いた。式典には愛知県の大村秀章知事をはじめ、重工メーカーなどから関係者140人が列席した。
ZA001は、6月22日にシアトルから到着。セントレアを運営する中部国際空港会社へボーイングが寄贈した。空港会社では展示方法などを検討していくが、現時点で公開時期は決まっていない。
7日の贈呈式では、ボーイング・ジャパンのジョージ・マフェオ社長と、空港会社の友添雅直社長が契約書にサイン。寄贈の証となる鍵が、マフェオ社長から友添社長に手渡された。
マフェオ社長は、「787のプロジェクトには世界各国が参画しているが、機体の35%を製造する日本の貢献度が一番高い。一番最初の機体であるZA001は、名古屋へ里帰りすることが最良の選択だった」と寄贈の経緯を語った。
「(飛行試験機として)役目を終えたZA001は、航空機開発や製造に携わりたい人や航空会社で働きたい人に、夢を与えるだろう」と、セントレアでの展示に期待を寄せた。
友添社長は、「きょうは7月7日でダブルラッキーセブン。名古屋のシンボルである数字の8が真ん中に入ると、“787”が完成する」と七夕と787を重ね、「ZA001が未来への架け橋となり、子供たちの夢がかなって欲しい」と述べた。
一方、機体の展示方法や公開時期については「教育に生かせるようにしたい。長く愛される情報発信の仕方を考えていきたい」と述べるにとどめた。
ボーイングは飛行試験機を6機製造。これらの試験機で得た結果を、航空会社へ引き渡す量産機の設計や製造工程に反映した。飛行試験機の初号機であるZA001は、787の中で最初に製造された機体で、民間航空機の歴史に残る機体が、生まれ故郷とも言える中部地方へ里帰りした。
飛行試験機の2号機と3号機は米国内へ寄贈しており、今年3月に2号機(ZA002、登録番号N787EX)を米アリゾナ州・ツーソンのピマ航空博物館(Pima Air & Space Museum)へ、3号機(ZA003、登録番号N787BX)は2014年11月に米シアトルの航空博物館(Museum of Flight)へ贈っている。
6月末時点での787の受注は1095機(787-8が457機、787-9が498機、787-10が140機)で、このうち292機(787-8が258機、787-9が34機)を引き渡し済み。現在の生産レートは月産10機で、2016年末に同12機、2020年には同14機と順次増産していく。
最終組立工場は、米ワシントン州エバレットとサウスカロライナ州ノースチャールストンの2カ所。中部空港からは747-400を改造した大型輸送機「ドリームリフター」で、主翼や胴体など大型部位を輸送している。
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