ピーチ・アビエーション(APJ/MM)は現地時間6月16日、エアバスA320型機(1クラス180席)を3機購入すると発表した。国内のLCCが航空機を自社購入するのは初めてで、2016年から受領を開始。2017年までに20機体制を構築する。
APJは現在、リース契約で14機のA320を導入しており、2015年度内に3機をリース導入することで、17機体制にする。航空機を自社購入すると、リース期間満了時にリース会社へ返却時に必要な整備費などが抑えられ、運航コストを低減できる。
調印式は15日に始まったパリ航空ショーで開かれ、APJの井上慎一CEO(最高経営責任者)とエアバスのファブリス・ブレジエCEO、ジョン・リーヒー顧客担当COO(最高業務責任者)が出席。契約書にサインし、握手を交わした。調印式には、エアバスの前CEOで現在はエアバス・グループCEOのトム・エンダース氏も顔を見せ、井上CEOに謝意を示した。
今回APJが購入するのはA320の従来型(A320ceo)で、座席数も既存機と同じ180席仕様となる。A320のエンジン換装型であるA320neoの導入については、「いろいろな条件を考えて検討したい。決してA320neoを否定しているわけではない」と述べるにとどめた。
また、APJのA320は、燃費効率を向上する翼端のシャークレットを採用しておらず、今回の3機も従来機と同様、シャークレットは取り付けない。井上CEOは「短距離路線では効果が少なく、機体が重くなる」と語り、既存機へのシャークレット導入に否定的な考えを示した。
エアバスが機内のギャレー(厨房設備)やラバトリー(化粧室)の配置を改良することにより、同一機種でも座席数を増やすオプションとして、航空会社へ提案している「スペース・フレックス」については、「興味はある」と語った。
一方、より大型のA321導入の可能性については、「(A320のみの)単一機種でいくが、状況が変わればフレキシブルに対応したい」と述べた。
これまで国内のLCCは、APJを含む4社ともリース会社から機体をリース導入しており、自社購入機導入は同社が初めて。今後の機体導入について井上CEOは、自社購入かリース導入かの判断は、発注段階で利点のある方を選択するという。
APJは現在、関西空港と那覇空港を拠点に、国内線12路線と国際線7路線を運航中。今後は8月28日に関西-宮崎線、9月4日には那覇-ソウル線の開設を予定している。
羽田から台北への国際線について、井上CEOは明言を避けた。同社は最短で8月の就航を目指しており、羽田を早朝に出発する運航スケジュールになるとみられる。
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