全日本空輸(ANA/NH)は6月12日、成田-ヒューストン線を開設した。1日1往復の運航で、共同事業(JV)を展開するユナイテッド航空(UAL/UA)とともにアジアと北米を乗り継ぐ旅客拡大を狙う。日本の航空会社のヒューストン就航は初めて。
機材はボーイング777-300ER型機で、ファースト8席、ビジネス52席、プレミアムエコノミー24席、エコノミー166席の計250席。ヒューストン行きNH174便は成田を午前11時15分に出発し、現地には午前9時30分に到着する。成田行きNH173便はヒューストンを午前11時20分に出発して、翌日午後3時20分に着く。
ヒューストンは米国第4の都市で、シェル石油の本社など石油・エネルギー系企業が集中している。また、NASA(米国航空宇宙局)のジョンソン宇宙センターなどでも有名。
UALの米国南部唯一のハブ空港であるヒューストンからは、米国南部やメキシコ、南米などに乗り継げる。米国内19路線、メキシコ7路線でANAとのコードシェアを実施している。成田とヒューストンで、両空港以遠に向かう乗り継ぎ客の獲得を狙う。
また、成田では午前中にアジアから到着する便と接続する。午前6時50分から8時45分までに成田へ到着する、シンガポールとバンコク、ホーチミン、ムンバイ、ヤンゴンからの便は、ヒューストン線へ乗り継げる。
UALとANAは航空連合のスターアライアンスに加盟しており、2社間の提携がさらに深化するJVを実施。成田-ヒューストン線は、UALも1日1往復のデイリーで運航している。
ヒューストン線就航で、ANAの成田発着の国際線は37路線になった。同社は2015年を「成田イヤー」と位置づけ、6月11日から成田-シンガポール、8月1日からバンコクの各線を増便し、9月1日のクアラルンプール線開設と、成田発着の国際線拡充が続く。10月から12月の間にはブリュッセル線も開設し、国際線ハブ機能を強化する。一方、成田-パリ線は10月で運休し、羽田発着便のみにすることで、収支を改善する。
ANAを傘下に持つANAホールディングス(9202)の片野坂真哉社長は、「エネルギー関連企業を中心にビジネス渡航を見込んでいるが、観光も強化していきたい。今日の便でも4分の1が乗り継ぎで、今後は半分くらいになるのではないか」と見通しを語った。
搭乗率の目標については「75%以上を期待している。就航発表からの予約状況はこれまでの路線より良い。777-300ERを入れたのはファーストクラスがあるからで、ビジネス界のトップなどファーストクラスに乗る客層が期待できる」と述べた。
成田空港で開かれた記念式典では、ANA社員やヒューストンへの留学経験者らがカントリーラインダンスを披露し、就航を祝った。成田出発初便(777-300ER、登録番号JA733A)は、乗客244人と運航乗務員3人、客室乗務員14人の計261人を乗せ、定刻の午前11時15分に出発。午前11時46分にA滑走路(34L)から離陸し、ヒューストンへ向かった。
運航スケジュール
NH174 成田(11:15)→ヒューストン(09:30)
NH173 ヒューストン(11:20)→成田(翌日15:20)
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全日本空輸
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