今年に入り、“成田縛り”が新たな局面を迎えている。成田縛りとは、2010年10月に羽田空港が再国際化した際、羽田から航空会社が国際線を運航する場合は、成田からも同じ国へ向かう便を残すという、国土交通省航空局(JCAB)や自治体と航空会社間の法的根拠のない取り決め。いわば紳士協定だ。
この紳士協定があることで、航空会社は成田と羽田という2拠点からの路線を、半ば強制的に維持しなければならない状況が続いてきた。
成田縛りは日本国内の、より明確に言えば成田の歴史的経緯を踏まえ、当事者間で決められたもの。当然ながら、海外の航空会社や当局が求めたものではなく、早期撤廃を求める声が強い。
海外の航空会社幹部は、こう言う。「日本政府は、訪日客を2020年までに年間2000万人に増やすと言っている。航空会社の動きを制約する成田縛りは必要なのか。利用者のニーズを満たしているのか疑問に感じる」と、他国にはない日本の独自ルールを不思議がる。
—記事の概要—
・ロンドン線から始まった成田縛り“崩壊”
・パリ線がロンドンに続く
・羽田と同じことをやっても意味ない
・次の欧州線運休は?
羽田の再国際化から5年。さまざまな環境の変化から、「ポスト成田縛り」と言える時代を迎えつつある今、成田ではどのような変化が起きているのだろうか。
ロンドン線から始まった成田縛り“崩壊”
2月1日、ヴァージン アトランティック航空(VIR/VS)の成田発最終便が、ロンドンへ向けて飛び立った。
プレミアムエコノミーを世界で初めて導入したり、ビジネスクラスでは自宅と成田空港間の送迎サービスを実施するなど、高いデザイン性や独創性のあるサービスに、日本国内でもファンが多かった。路線再編により、惜しまれつつも25年9カ月の歴史に幕を下ろした。
ここで問題となったのが、全日本空輸(ANA/NH)のロンドン線だ。ANAはロンドン線を羽田から自社便で飛ばしており、成田発着はVIRとのコードシェア便を設定していた。パートナー側の理由ではあるが、成田縛りを守るとなると、ANAは再度成田からロンドン線を自社便で復活しなければならない状況になった。
ところが現在、ANAのロンドン線は従来通り羽田からの運航だ。成田を復活させる動きもない。
理由の一つは、乗り入れ先であるロンドンのヒースロー空港の発着枠に余裕がないためだ。日本国内の事情のためだけに、貴重な発着枠を配分するのは難しい。
また、英国側の航空会社で成田線を設定しているのは、VIR撤退でワンワールド・アライアンスに加盟するブリティッシュ・エアウェイズ(BAW/BA)のみとなり、スターアライアンスに加盟するANAがBAWとコードシェアを実施するのは現実的ではない。こうした複合的な要因により、結果的にANAのロンドン線は羽田の単独路線となった。
パリ線がロンドンに続く
6月に入り、ロンドンに続いて成田を去るANAの欧州路線が現れた。10月25日に始まる冬ダイヤから運休するパリ線だ。一方、
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