「ここ数年他社の後を追随しているようなイメージが常につきまとってきた。革新的なサービスの第一弾です」。日本航空(JAL)が7月15日から成田-ニューヨーク線を皮切りに米国や欧州路線の国際線でサービスを開始する無線LANによるインターネット接続サービス「JAL SKY WiFi」を企画したJALの商品サービス開発部の江幡考彦アシスタントマネジャーは、次世代旅客機ボーイング787型機の導入など、サービス面でライバルの全日本空輸(ANA)に対して後追いの印象が強い現状を打開したい思いを語った。
2010年1月19日の経営破綻。JALに新サービスへ投資を行う余力はなくなった。しかし再生を進めていく中で乗客のニーズを満たさなければならない。江幡さんは「JALが変わったとお客様に感じていただける、革新性を打ち出せるものとして無線LANサービスの検討を始めました」と語る。
JALが機内で無線LANサービスを提供するのは今回が初めてではない。ボーイングが提供する「コネクション・バイ・ボーイング」を04年から06年に採用。ビジネスマンを中心に需要があったものの、ボーイングの事業撤退によりJALも中断せざるを得なくなった。江幡さんによると、今回のサービスは破綻後の11年上半期から具体的な検討に入ったという。
「我々には後がない」
今回導入するのは米パナソニック アビオニクス社のシステム「eXConnect」で、機内の通信規格はIEEE 802.11a/b/g/nで2.4GHz帯と5GHz帯両対応。5カ所のアクセスポイント(AP)が機内に設けられ、自席近くのAPが混雑している場合はほかのAPを利用する仕組みになっている。衛星回線はウェブサイトの閲覧やメールの送受信に対応できる「Kuバンド」のものを使用し、通信エリアはJALの国際線路線の多くをカバーしている。
すでにルフトハンザ ドイツ航空(DLH)が導入済みの実績あるシステムで、このシステムを選択した理由の一つを「我々には後がないので早く導入したかった」と江幡さんは述懐する。
サービスは7月15日に成田-ニューヨーク線から開始し、8月下旬にシカゴ線とロサンゼルス線、10月下旬にジャカルタ線、13年春に欧州線でスタートする。当初の対象機種はボーイング777-300ER(246席または272席)で、JALが保有する
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