エアアジア・グループは5月2日、バンコク(ドンムアン)-札幌(新千歳)線をマレーシアのエアアジアX(XAX/D7)による代替運航で就航させた。タイ・エアアジアX(TAX/XJ)の新路線として計画していたもので、タイ航空当局の安全性審査体制に対する問題が表面化したことから、代替措置を採った。
TAXは当初、自社便で札幌線開設を計画していた。ところが3月に入り、国連の専門機関ICAO(国際民間航空機関)がタイ当局に対し、「重大な安全上の懸念(SSC)」を指摘。タイ国籍の全航空会社は、日本をはじめとするICAO加盟国への新規就航や、増便などのスケジュール変更、機材変更など、新たに認可が必要となる手続きの審査が中断されている。このため、自社便就航を見送り、XAXのチャーター便による代替運航を決めた。
ICAOが問題視しているのは、タイ当局の安全審査体制。航空会社が新路線の開設などを当局に申請した際、担当者が不十分な知識で審査をしており、ICAOが定める安全監査基準を満たしていないと判断した。これを受け、日本の国土交通省航空局(JCAB)は3月29日、タイの全航空会社に対し、新規就航などの認可を凍結すると通達した。
TAXの札幌線は1日1往復。XAXによる代替輸送は、2日から31日までに新千歳空港を発着する便で実施する。同社によると、バンコクから札幌への初便の搭乗率は100%だったという。
同社は2014年9月1日、バンコクから成田へ1日2往復、関西空港へ同2往復で就航。両便に影響はなく、通常運航を続けている。
代替運航のスケジュール
D7 620 バンコク(23:10)→札幌(翌日07:50)
D7 621 札幌(08:55)→バンコク(14:10)
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エアアジア
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