国土交通省航空局(JCAB)は5月1日、アシアナ航空(AAR/OZ)が起こした事故の影響で使用できなくなっていた、広島空港の滑走路(滑走路番号10/28、長さ3000メートル)のILS(計器着陸装置)について、早ければ4日にも暫定的に再開すると発表した。滑走路を運用する気象条件が緩和される。
仮設機材で仮復旧させ、運用再開前にJCABの飛行検査機で性能を確認する。現在の着陸時の気象条件は、パイロットが滑走路中心線灯などを視認できる最大距離「RVR(滑走路視距離)」が1600メートル以上。仮復旧後は、ILSがある西側(滑走路10側)から着陸時は、RVRが550メートル以上に緩和される。
今回の仮復旧では、ILSは「カテゴリーI(CAT I)」での暫定運用となる。事故前の広島空港は、より精度の高い「カテゴリーIIIB(CAT IIIB)」で運用していたが、年内に運用を再開出来る見通し。
事故は4月14日午後8時すぎ、AARのソウル発広島行きOZ162便(エアバスA320型機、登録番号HL7762)が起こした。乗客73人と乗員8人の計81人は、全員が非常脱出用スライドで機外へ脱出。乗客25人と客室乗務員2人の計27人が軽傷を負った。運輸安全委員会(JTSB)の調査によると、機体は主翼と主脚、エンジン、水平尾翼、胴体後部下側などに損傷が生じた。
この影響で、16日まで滑走路が閉鎖。17日の暫定再開後も、ILSが使用できなくなったため、悪天候時に欠航が生じるなどの影響が出ている。25日夜からは事故機の撤去作業が行われ、気象条件が緩和された。
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