成田国際空港会社(NAA)は3月25日、4月8日開業予定のLCC(低コスト航空会社)用ターミナル「第3旅客ターミナル」を報道関係者に公開した。開業時はジェットスター・ジャパン(JJP/GK)とジェットスター航空(JST/JQ)、バニラエア(VNL/JW)、春秋航空日本(SJO/IJ)、チェジュ航空(JJA/7C)の5社が乗り入れる。
出発は青、到着は赤
LCCターミナルの延床面積は約6万6000平方メートルで、保安検査場や国際線用のCIQ(税関・出入国管理・検疫)を備える本館と、国内線が発着するサテライト、両館を結ぶ高さ15メートルの連絡橋で構成される。
就航都市数は国内線12都市、国際線7都市で、年間750万人の利用を想定。初年度は550万人を見込む。
ターミナル内はわかりやすさを重視。床は陸上競技のトラックをイメージしたデザインを取り入れ、出発動線は青いライン、到着は赤いラインで示した。チェックインカウンターは航空会社ごとに設け、同じ会社で国際線と国内線の区別なくチェックインできるようにした。
内装は天井を貼らず、案内表示を床や梁(はり)を活用して掲示。天井の高さは5メートル、柱を12.5メートル間隔で設置し、建設コストを抑えた。一方、ブランド品を扱う本館3階の免税店エリアは、天井を貼ってイメージに合う内装にした。
本館2階の出発エリアには、24時間営業のコンビニエンスストア「ローソン」や書店などが入る。近年増加傾向になるイスラム教徒のため、礼拝室を制限エリアの内外に設けた。
また、広さ680平方メートルと、国内空港最大となる座席数約450席のフードコートを設置。寿司やそば、うどん、お好み焼き、ハンバーガーなどの店舗を置き、早朝4時から夜9時(カフェは10時)まで営業する。
乗り入れるLCCも物販店を展開。本館にVNLとSJOの売店、サテライトにJJPの売店とVNLの自販機コーナーを設けた。
国際線5機、国内線4機
同ターミナルには、LCCの主力である小型機のエアバスA320型機やボーイング737型機の場合、国際線用の本館側に5機、国内線用のサテライト側に4機の計9機駐機できる。飛行機への搭乗と降機には搭乗橋(PBB)を使わず、乗客は徒歩で移動する。
第2ターミナルの一部を転用する本館も、既存の76番と77番スポットのPBBは撤去し、徒歩で機体へ向えるようにした。
9つある駐機場(エプロン)には、ターミナルと飛行機の間に、トンネルのような屋根付き通路「エプロンルーフ」を設置した。雨に濡れずに乗降できるほか、記念写真を撮る乗客などで、定時運航に支障が出ないようにする。
2タミから徒歩15分
鉄道の最寄り駅は、東日本旅客鉄道(JR東日本、9020)と京成電鉄(9009)の空港第2ビル駅。LCCターミナルに駐車場はなく、自家用車も第2ターミナルが最寄りとなる。
第2ターミナルからLCCターミナルまでは500メートル離れており、徒歩で約15分かかる。このため、第2ターミナルとLCCターミナルを往復するシャトルバスと、第1ターミナルからLCCターミナル経由で第2ターミナルへ向かう連絡バスを新設する。
シャトルバスは午前4時半から午後11時まで、5分から10分間隔で運行する。第1ターミナルからLCCターミナルへ向かう連絡バスは、午前7時から午後9時30分までで、15分間隔。所要時間は、LCCターミナルへは10分から15分程度、第2ターミナルへは5分程度となる。
3月時点で成田へ乗り入れているLCCは、国内4社と海外9社の計13社。発着回数ベースのシェアでは21.5%を占め、国内LCCが初めて就航した2012年度の6.9%と比べると、大幅に増加している。
LCCターミナルは2013年8月に着工。建設費は契約額で132億円で、追加工事を含めると150億円程度となる見通し。これに既存施設の撤去費用などを加えると、総額200億円弱になるとみられる。
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