エアライン, 解説・コラム — 2015年2月19日 13:10 JST

JAL、16年度ユニットコスト8.8円 「身の丈にあった事業展開進める」

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 日本航空(JAL/JL、9201)が2月18日に発表した、2012-16年度の中期経営計画ローリングプランによると、燃油費を除いたユニットコストは2014年度が8.8円となる見込みで、2015年度は9.0円、2016年度は8.8円になる見通しだ。

16年度のユニットコスト8.8円を目指すJAL=14年7月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 2014年度は円安影響やサービス強化により費用が増加したものの、生産性向上で費用を抑制できた。2015年度は円安要因に加えて、サービス強化施策を継続するため、前年度より0.2円増の9.0円とした。

 最終年度の2016年度について、経営企画本部長の乘田俊明常務執行役員は「何もしなければ9.0円になるが、コスト削減が進んできている」として、2014年度と同様の8.8円実現に自信をみせた。

 一方、8円台を下回る可能性については、「フルサービス航空会社としてのコストのかけ方がある」として、現状では8円台が妥当との考えを示した。ボーイング787型機のエコノミークラスを標準的な横1列9席配列にせず、8席を維持する例を挙げ、「ユニットレベニュー(1座席当たり旅客収入)を上げていく」として、付加価値戦略による売上向上を進める。

1列8席に抑えたJALの787のエコノミークラス=14年11月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 路線ネットワークについては、「規模拡大のみを追うことなく採算性を見極める」(乘田常務)として、国際線は日本の航空会社が就航していない地域に着目し、成田経由によるアジアと北米との接続需要を取り込みたいとの考えを語った。国内線については、機材の需給適合により利便性と収益性を向上させるという。

 サービス面は、「きめ細かい訓練で、ハードに頼ることなくソフト面を向上させる」(乘田常務)と述べた。

 為替や燃油については、円安と燃油安を見込む。為替が2014年度見通しが1ドル106.3円、2015年度が118円、2016年度も118円で、シンガポールケロシンは2014年度見通しが1バレル112.6円、2015年度が80円、2016年度が110円との計画値を示した。

 座席供給量を示すASK(有効座席キロ)は、2011年度実績比で2014年度見通しは国際線が11%増、国内線が2%増、合計7%増、2015年度は国際が同14%増、国内が同3%増、合計で同9%増、2016年度は国際が同18%増、国内が同3%増、合計で同11%増とした。

 2015年度の売上高はサーチャージが下がることなどで、2014年度比140億円減の1兆3280億円を計画。営業費用は同190億円増の1兆1560億円で、営業利益は1720億円、経常利益は1690億円、純利益は1440億円と、同50億円ずつの利益増を見込んでいる。

 目標に掲げる5年連続営業利益率10%以上、2016年度末自己資本比率50%以上の進捗については、2014年度見通しが営業利益率12.4%、自己資本比率52.4%で、2015年度は営業利益率13.0%、自己資本比率56.5%を見込んでおり、着実な進捗だとした。

 乘田常務は、「質を向上させて利益を上げていく。身の丈にあった事業展開を進める」と語った。

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