想定を超える円安、燃料費の高止まり、そしてエアバスの総2階建て超大型機A380の7億ドル(約825億円)の違約金問題──。民事再生法の適用を申請したスカイマーク(SKY/BC、9204)の有森正和社長は1月29日、都内の本社で開いた会見で破綻要因を説明した。同時に、通常通りの運航を続けていることを強調し、これまで通りの利用を訴えた。日本航空(JAL/JL、9201)や全日本空輸(ANA/NH)とのコードシェア提携も交渉を続けていく。
一方、会社再建を加速するため、2月から12路線を減便。シートピッチを広くしたエアバスA330-300型機(271席)も1月31日を最後に運航停止する。3月29日の夏ダイヤからは那覇-宮古線、那覇-石垣線、仙台-福岡線の3路線を運休し、宮古空港と石垣空港からは撤退する見通しだ。一方、撤退が取りざたされている米子空港については、「今後相談しながら決めたい」(有森社長)として、明言を避けた。
1月29日時点の路線数は直行便24路線、経由便4路線の計28路線。夏ダイヤの直行便は21路線となる。
また、A330の運航停止は、主力機であるボーイング737-800型機(177席)への機材1本化を意味する。「われわれは会社を再建するために事業計画を進めている。2011年3月期に20機の737で運航していた時の、世界トップ3の利益率に回復させる」と、井手隆司会長は力説する。
現在SKYの機材はA330が5機と、737が27機。いずれもリース機で、A330が運航停止すると同機のリース会社である、アイルランドのイントレピッド・アビエーションとの交渉が生じる。それだけではなく、残り5機のA330が引き渡し待ちであることから、エンジンメーカーのロールス・ロイスも違約金を求める可能性がある。
円安やA380の違約金も大きな問題だが、記者は会見を取材し、改めてA330の処遇こそが今後の課題になると感じた。有森社長も「(経営破綻の)原因は、A380だけではない。足もとの収益の問題でもある。A380の違約金問題さえなくなれば良いとは考えていない」と語り、運航路線の採算性や機材のリース料など運航コストも見直さなければ、再建は難しいとの認識だ。
─ 記事の概要 ─
・円安「会社を大きく傷めた」
・止血策としてのA330運航停止
・「サービスを追求していく航空会社」
円安「会社を大きく傷めた」
有森社長は会見で、航空機リース料がドル建てであり、円安進行が重荷になったと説明。しかし、リース料がドル建てなのは航空会社では一般的で、SKYが例外な訳ではない。費用のドル建て決済が多い航空会社の中で、為替ヘッジをしない同社は珍しく、同業他社以上に円安の痛手を被ったと言える。
「為替ヘッジは業者が儲かるだけ」。西久保愼一前社長に、記者がかつて為替ヘッジを行わない理由を尋ねると、こう答えが返ってきた。為替はどのみち変動するものであり、先を見通せるかどうかの違いだけ、というのが西久保前社長の考えだった。
2012年12月の第2次安倍内閣発足以降、過度な円高が是正され、円安に転じた。SKYがA380を発注したのは2011年。投資予定額は総額で約1916億円としており、これまでに265億円をエアバスに支払っている。
SKYは2011年2月にA380を4機発注し、同年6月にはオプション(仮発注)だった2機も正式発注に切り替えた。SKYは2012年3月期まで、過去最高益を3期連続で更新しており、絶好調の中でのA380発注だったと言える。エンジンは2011年9月14日、英ロールス・ロイス社のトレント900を選定し、2017年までに全機を受領予定だった。
最初に発注した2011年2月18日の為替は1ドル83円台。102円台で推移する現在と比べると、2割程度円高だった。2012年12月の第2次安倍内閣発足以降、過度な円高が是正され、円安に転じた。ドル建て決済が多い航空会社では、機体もドル払いだ。発注から引き渡し開始までに進んだ円安は、「会社を大きく傷めることになった」(井手会長)。
A380導入について有森社長は、「(西久保前社長)個人ではなく会長、私も含めて経営責任がある。役員がその時正しいと判断して決めたことで、一番適切な判断をしたと思う」と、西久保氏個人の責任ではないとする。井手会長は西久保氏について、「経営責任を深く感じており、(節目の段階で)身を引くと言っていた」と語った。
止血策としてのA330運航停止
A380導入頓挫の要因のひとつが円安ではあった。しかし、A330の契約も途中でキャンセルするとなれば、さらに違約金金額がふくれあがる。
関係者は「今度はロールス・ロイスも黙ってないのではないか。A380の時は、
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