JALグループは11月30日まで、伊丹空港で木製のコックピット「もっくピット」を、北ターミナル2階、保安検査場前で展示している。ボーイング777型機のコックピットを再現したもので、JALエンジニアリングの大阪空港整備部に所属する整備士ら16人が中心となって製作した。イベントでは40分待ちになるほどの人気アイテムだ。
もっくピット作りを取りまとめた整備士、梅田昌伴さん(59)は、2015年2月で定年退職する。「卒業製作のつもりで始めました」と話す梅田さんによると、もっくピットの正式名は「ITM 777 Mokupit」(伊丹のIATAコード“ITM”と777、木のコックピットでMokupit)で、もっくピットは愛称だという。
本物らしさにこだわる
「最初は“木”の“コックピット”なので、“もくピット”だったのですが、それだと子供たちが呼びにくいので、“もっくピット”にしました」と由来を話す。
コンセプトは「ヒコーキが大好きな子供たちに笑顔をプレゼント!」で、整備士主体の16人を中心に、2013年11月から今年7月まで8カ月、800時間をかけて製作した。製作費は16万円で、ほとんどが木材の値段だ。
参加者は全員ボランティアで、日勤の日に仕事を終えてから取り組んだ。もっくピットは松の木で出来ており、ホームセンターで1畳5000円ほどの板を購入して作っていった。大きさは幅2.5メートル、高さ1.45メートル、奥行き1.35メートル、重さが67キログラムで、本物の8割の大きさで製作。スイッチ類は子供が使うことを考え、少し大きめに作ってある。中央やコントロール・ホイールに彫られた鶴丸も、メンバーによるものだ。
JALではこれまでに、成田空港の整備士が中心となってボーイング787型機のシミュレーターを3分の2の大きさで再現した木製の「ミニレーター」を製作。各地の空港で展示され、子供たちや飛行機好きの大人たちを虜にした。
ミニレーターは可搬性を重視して製作されたため、梅田さんたちは本物らしさにこだわることにした。伊丹には羽田から777が数多く飛来し、1日3便がステイ(停泊)することから、疑問に思うと実機を確認し、可動部分も含めて忠実に再現した。また、伊丹空港周辺に出張できるよう、5分割できる構造にしてある。
「もっくピットはおもちゃじゃないんです。整備士の教育にも使えるんですよ」と整備士の教官も務めた梅田さんは、本物志向で作ったメリットを話す。操縦桿のコントロール・ホイールは、手を離すとゴムの力で中立位置へ自動的に戻るなど、子供が扱うことを念頭に置きながらも、パイロットに“テストフライト”してもらい、極力本物の使い心地に近づけた。
とはいえ、整備士たちにとって木を扱うことは普段と勝手が違う。「木は生き物」という梅田さんは、「木目に逆らわないようにするなど、木の難しさに苦労しました。普段はアルミやチタンを扱う板金屋ですからね」と製作過程を振り返る。温かみのある木で出来ていることで、子供たちに親しんでもらう上で大切だと考えた。
お金だけではなく参加を
実は製作途中で資金が尽き、もっくピットは
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