成田国際空港会社(NAA)は10月30日、整備を進めているLCC(低コスト航空会社)用ターミナルについて、2015年4月8日に開業すると発表した。名称は第3ターミナルとなり、成田を拠点とする3社の国内LCCが利用する。同時に、これまで国際線利用者からのみ徴収していた施設利用料(PSFC)を、LCCを含む国内線利用者にも負担させる。
第3ターミナルを使用するのは、ジェットスター・ジャパン(JJP/GK)とバニラエア(VNL/JW)、春秋航空日本(SJO/IJ)の3社。延床面積は約6万6000平方メートルで、保安検査場や国際線用の出入国審査場などを備える本館と国内線が発着するサテライト、両館を結ぶ連絡橋で構成され、年間750万人の利用を見込む。
内装は天井を貼らず案内表示を床や梁(はり)を活用。本館2階の出発エリアには、24時間営業のコンビニエンスストアや書店などの店舗が入る。近年増加傾向になるイスラム教徒のため、礼拝室を制限エリアの内外に設ける。また、国内空港最大の座席数400席程度のフードコートを本館2階に設け、寿司やそば、うどん、ラーメン、ハンバーガーなどの店舗を置く。
成田へ鉄道や自家用車で来港した場合、第3ターミナルへは徒歩で第2ターミナルから向かうか、第2と第3ターミナル間を結ぶシャトルバスで移動する。高速バスやタクシーの場合は、第3ターミナル専用バス乗り場が利用できる。
第3ターミナルの開業に合わせて、国内線の利用者からもPSFCを徴収。4月8日から新設する料金は、第3ターミナルの国内線を利用する場合、1人1便ごとに大人380円、子供190円がかかる。国際線は、出国時が大人1020円と子供510円、乗り継ぎ時が大人510円と子供250円で、さらに旅客保安サービス料(PSSC)を大人子供共通で520円を上乗せする。
これまで徴収していなかった第1と第2ターミナルの国内線利用者については、大人440円、子供220円を徴収する。PSFCはロビーなどの整備や維持費用に充てる。
成田は2014年4-9月期の発着回数累計で、旅客便全体の19.3%をLCCが占め、冬ダイヤ開始時点では21.5%に上昇。NAAでは「入居するLCCにとって、低コストで効率的な運航が可能」としている。一方、成田を拠点とするLCCからは、「賃料や利用料を下げて欲しい」との声が多く挙がっており、供用開始前から空港会社と航空会社の間に温度差が見られる。
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