全日本空輸(ANA/NH)は10月26日、羽田-中部(セントレア)線を1日1往復で開設した。ANAの羽田と名古屋を結ぶ路線は1982年6月に運休して以来、およそ32年ぶりの再開となる。中部行き初便の客室乗務員は、今冬から採用する新制服を着用した。
ANAの志岐隆史・取締役執行役員はセレモニーで「(中部から羽田の路線がなかったため)名古屋の利用客から『羽田の欧州線が使いにくい』との意見があった。2020年の東京オリンピックとパラリンピックに向けて、アジアからの利用客には羽田を経由して名古屋を訪問してほしい」と語った。運航期間については「いったん始めたからには止めないというのがANAの鉄則。(中部線は)ずっと続けていきたい」とし、永続的に運航していきたいとした。
セレモニーには名古屋をピーアールする「キラッ都なごやメイツ」の平子真里恵さんが、羽田発の初便となったNH85便に乗務する岐阜・関市出身の福島英樹機長に花束を贈呈。名古屋市公式キャラクター「はち丸」も駆けつけた。
機材はボーイング737-800型機。おもに166席仕様(プレミアム8席、普通席158席)の機体で運航する。午後6時30分に羽田空港71番搭乗口を出発したNH85便(登録番号JA78AN)には、159人が搭乗。初日は満席に近かったが、それ以降は「相当ガラガラ」(志岐執行役員)で、ANAではプロモーションなどで利用促進を図る。
NH85便は、羽田を午後6時25分に出発し、中部には午後7時30分に到着する。NH86便は中部を午前7時50分に出発し、羽田着は午前8時50分。
NH85便の客室乗務員が着用したのは、今冬から採用する新制服。ミシェル・オバマ米国大統領夫人や英国キャサリン妃、レディー・ガガさんなどのファッションを手がける、プラバル・グルン氏がデザインした。
ANAは今年3月30日、羽田空港の発着枠拡大で国際線を17路線23便に拡充。中部地域から昼間帯に運航する欧州路線への乗り継ぎに対応するスケジュールを設定。同路線により、羽田で乗り継ぐ中部圏の国際線利用客を取り込む。NH85便へは、羽田に午後到着するロンドン発NH278便やフランクフルト発NH224便など、国際線5便から乗り継げる。NH86便は羽田到着後、午前から正午過ぎに出発する上海行きNH1259日やパリ行きNH215便など国際線9便へ乗り継げるようになる。
首都圏と中部圏を結ぶ便としては、ANAは成田-中部線を1日2往復で運航。使用機材はエアバスA320型機(普通席166席)またはボーイング737-500型機(普通席126席)。成田-中部線の2013年度搭乗率は、国内線全体の搭乗率73.9%を上回る75.3%(前年度比5.0ポイント上昇)、旅客数は16万2278人(4.9%増)、提供座席数は21万5461席(2.1%減)だった。
一方、日本航空(JAL/JL、9201)は羽田-中部線を2013年3月31日に1日1往復で運航開始。今年の3月30日からは1日2往復に増便した。現在の使用機材は737-800(165席:クラスJ20席、普通席145席の国内線仕様機または144席:ビジネス12席、エコノミー132席の国際線仕様機)。2013年度のロードファクター(座席利用率、L/F)は、国内線全体のL/F64.0%を下回る61.0%、旅客数は6万3900人、提供座席数は10万4741席だった。
運航スケジュール
NH85 羽田(18:25)→中部(19:30)
NH86 中部(07:50)→羽田(08:50)
関連リンク
全日本空輸
・なぜJALとANAは羽田-名古屋線を飛ばすのか シリーズ・航空業界素朴な疑問(1)(14年8月28日)
・ANA、羽田-名古屋線の販売開始 7000円から(14年8月26日)
・ANA、羽田-中部線開設 冬ダイヤから1日1往復(14年7月23日)
・ANA、羽田-台北線など機材大型化 14年度下期計画(14年8月21日)
・ブルーラインがアクセント 写真特集・ANA客室乗務員の新制服(14年4月25日)
・ANA、10年ぶり新制服 フィギア羽生選手も登場(14年4月25日)