国産初のジェット旅客機となる三菱航空機のMRJが10月18日、ロールアウト(完成披露)した。式典にはローンチカスタマーであるANAホールディングス(9202)の伊東信一郎社長も招かれ、「MRJの勇姿を見て感動した。初号機の受領が待ち遠しく、世界で最初に運航できることは名誉なこと」と待望のロールアウトに賛辞を送った。
MRJ導入を発表したのは、ホールディングス制へ移行前の2008年3月27日。全日本空輸(ANA/NH)として、90席クラスのMRJ90を確定15機とオプション10機の計25機を発注した。このANAの発注で、MRJのプロジェクトは正式にスタートを切った。
伊東社長は「安全性が担保されて、客室などが快適な飛行機を作って欲しい」と、三菱航空機への要望を挙げる。
MRJを最初に就航させる路線について、伊東社長に尋ねると「90席前後にマッチする路線は、名古屋からも沢山ある」と話した。名古屋への里帰りの可能性を尋ねると「もちろん」と応じた。
現在、ANAの中部空港(セントレア)発着便でリージョナル機を使用している路線としては、中部-秋田線、仙台線、新潟線、松山線などがあり、ANAHDの子会社ANAウイングス(AKX/EH)が、ボンバルディアDHC-8-Q400型機(Q400)で運航している。
会場には、MRJの発注をすでに決めた航空会社や、現在検討中とされる航空会社の経営陣の姿も見られた。
今年8月、32機を導入する覚書(MoU)を三菱航空機と締結した日本航空(JAL/JL、9201)の植木義晴社長は「私の席はノーズ(機首)の前だった。私に向かって入ってくるので、いいなぁと思っていたら、MRJが止まるとノーズしか見えなくなってしまった。式典後に機体を見たが、美しい」と感想を話す。
「これまでいろいろな苦労があったと思う。三菱の方々に対して“おめでとう”と、いち国民として“ありがとう”と言葉をかけたい」と語る植木社長は、「32機に鶴丸を付けて飛ばす夢を私たちも賭けているが、どんどん現実のものとして近づいてきている」と、期待を示した。
関連リンク
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