成田国際空港会社(NAA)は10月16日、成田空港での航空機事故を想定した訓練を実施した。NAAや航空会社、消防、警察、自衛隊、国交省航空局、病院、歯科医師会、成田市など65機関の約1200人、350台以上の緊急車両が参加した。今回で33回目。
訓練は午後1時45分、架空の航空会社XYZ航空000便(ボーイング767型機)がA滑走路(34L)での着陸直後にノーズギアが損傷し、胴体着陸後に左翼付け根から出火して火災が拡大。「事故機」はA滑走路上で停止し、乗客乗員は脱出しているが、機内に負傷者が取り残されている、との想定で実施した。
機外にはダミーの人形3体を配置。機外に投げ出された負傷者という想定で開始した。機内の負傷者には負傷部位のメーク(ムラージュ)を施し、負傷者はケガをしたという演技で、本番さながらの救護活動訓練を実施した。メークは千葉科学大学(千葉・銚子市)と国際医療福祉専門学校(千葉市)の生徒が担当し、負傷者役も演じた。
今回は航空機周辺の状況把握や適切な消防車両の接近、傷病者の優先順位の決定、自衛隊災害派遣要請での広域搬送など、5項目に重点を置いた。
事故機の搭乗者数は200人と想定し、警察や消防が機内から救助して負傷者選別所へ搬送した。選別所では医師が治療や搬送の優先順位を決定するトリアージを実施。判定を受けた救助者は重症度に応じて救護所や軽症者処置所へ運ばれた。また、遺体の仮安置所では、歯科医師が歯形で身元を確認した。
搭乗者200人の内訳は、死者11人(うちダミー人形3体)、重症者15人、中症者22人、軽症者14人、無症者138人。訓練用機材は、全日本空輸(ANA/NH)がボーイング767-300ER型機(登録番号JA606A)を提供した。同機は2007年7月、中国線就航20周年を記念して運航を開始した特別塗装機「FLY!パンダ」で、パンダジェットの愛称で親しまれている。
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成田国際空港
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