国土交通省航空局(JCAB)は9月26日、エア・ドゥ(ADO/HD)に対して整備体制の不備を厳重注意した。同社のボーイング767-300型機1機と737-700型機2機で、主翼の整備を定められた期限内に実施せず、担当者がデータを整備管理システムに入力する際、期限内に実施したかのように入力するなど、整備関連で4件の問題が見つかった。
JCABは8月25日と26日に、ADOに対して安全監査を実施。適切な器具を用いて検査を実施したかを確認出来ない整備作業があったため、同社に対して同種事例の調査を指示した。
これを受けてADOは、9月2日にJCABへ事例を報告。767-300(登録番号JA8359)の主翼前縁にある高揚力装置の駆動部への潤滑と点検を、整備期限を過ぎてから実施したにもかかわらず、整備管理システムには期限内に作業したかのように不正なデータ入力を行った。
さらにADOが整備する機体の整備記録を確認したところ、整備期限を過ぎていた事例が2機の737-700で3件発覚。1機目(JA11AN)では、主翼補助翼のバランス・タブ可動部への潤滑と点検が、2機目(JA15AN)では、貨物室床面の搭降載システムの作動確認と目視点検と、エンジンの電子制御システムの確認点検作業が、それぞれ期限を過ぎてから実施され、システムには期限内に作業したかのように、データ入力が行われていた。
767-300の事例では、3000飛行時間ごとに実施する作業が650飛行時間超過。本来は6月5日に実施すべきところ、9月3日に作業した。737-700では、主翼補助翼については4000飛行時間または12カ月ごとに実施するものを990時間超過し、1月6日に実施すべき作業を5月20日に行った。貨物室の搭降載システムについては、300飛行回数ごとに実施すべき点検を、8飛行回数超過。3月17日に実施すべきものを3月20日に実施した。
737-700のエンジン電子制御システムについては、ボーイングやADOの規定上は150飛行時間ごとに実施すべきとしていたが、ADOでは100飛行時間で点検するようにしていた。ところが、当該機では13飛行時間超過した113飛行時間で点検が実施された。
これらの影響で、9月に入り機体点検のために計5便が欠航。点検の結果、ADOが運航する全機に不具合がないことを確認した。ADOでは767-300を4機、737-700は5機保有しており、自社で整備を実施している。退役が進む737-500については、整備作業を全日本空輸(ANA/NH)へ委託している。
再発防止策として、ADOでは業務プロセスの変更やチェック回数を週1回から週2回に増やすなどの対策を採る。また、不正な作業を実施した作業者に対しては、厳正な対処をするという。
JCABはADOに対し、10月10日までに文書で報告するよう指示した。
関連リンク
エア・ドゥ
・エア・ドゥ、空港手続き不要の「スキップサービス」 10月から(14年9月24日)
・エア・ドゥ、11月に国際チャーター ドリーム号退役へ(14年8月21日)
・エア・ドゥ、搭乗者数2000万人突破 運航開始から15年7カ月(14年7月10日)