官公庁, 機体 — 2014年9月21日 06:01 JST

エンジン軽量化と燃費向上で国際競争力強化へ JAXA航空シンポジウム技術講演(2)

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 JAXA(宇宙航空研究開発機構)が9月18日に開催した、航空科学技術と国際競争力の強化をテーマにした発表会「JAXA航空シンポジウム2014」。午後の技術講演では航空本部のグループ長などが、実行中の取り組みや今後の展望などを発表した。

研究開発計画を発表する推進システム研究グループ長の西澤氏=9月18日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 推進システム研究グループ長の西澤敏雄氏は「高効率軽量ファン・タービンシステム技術実証(aFJR)」について発表。ファンや低圧タービンの空力効率向上技術と軽量化技術に関する研究開発(高効率軽量ファン・タービン技術実証、aFJR)を中心に、JAXAの航空エンジン技術の研究開発計画を紹介した。

 現在の民間エンジンは、米プラット・アンド・ホイットニー(P&W)と米GEアビエーション、英ロールス・ロイスの3大メーカーが世界シェアの4分の3を占める。日本企業の割合はIHI(7013)と川崎重工業(7012)、三菱重工業(7011)の合計で5%にとどまる現状を説明。市場規模の大きいボーイング737型機やエアバスA320型機、MRJなどの中小型機クラスのエンジンを国際共同開発し、シェアを維持・拡大することが優先との見方を示した。

 日本企業は国際共同開発への参画が中心で、A320などに搭載するIAE(インターナショナル・エアロ・エンジンズ)製V2500の開発が国内産業規模を支えている。参画比率は23%で、ファンモジュールや低圧圧縮機モジュール、低圧タービンディスクを供給している。シェアの拡大・維持により、産業成長を着実にする好機と捉え、国際競争力を高めるために、JAXAとしては研究開発や技術移転などを促進していきたいとした。

 これに伴い、JAXAはエンジン技術研究の開発プログラムを発表。ファンやタービンモジュールの空力効率向上と軽量化、コアエンジンの熱効率を向上、窒素酸化物(NOx)排出の低減、排気ジェット騒音の低減などを目標としたプログラムを構築する。

 燃費低減につなげるファンや低圧タービンの軽量化について、ファンを0.9%、低圧タービンを9.1%軽量化させ、ファンの空力効率を1ポイント向上させる技術目標を設定。これらで1%の燃費低減を実現できるとしている。

 発表会後の質疑応答で、日本企業単独でエンジン全体を製造する可能性について問われた西澤グループ長は、純国産エンジンを作る能力はあるとの見解を示し、「3大メーカー含めて、純国産で生産しているところは少ない。現在は燃焼機やギヤボックスなどのパーツだけだが、全体に占める日本企業の比率を増やしていきたい。日本の技術が多く含まれるエンジンを目指したい」との展望を語った。

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JAXA航空本部

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