お盆休み中の8月14日、エアバスA380型機の契約解除で揺れるスカイマーク(SKY/BC、9204)が、成田空港からの撤退など不採算路線の再編を明らかにした(関連記事)。
この日発表された10月26日から始まる冬ダイヤの運航スケジュールでは、成田-札幌線、那覇線、米子線の成田発着3路線(1日2往復ずつ計1日6往復)がすべて姿を消した。成田撤退は、8月初旬から弊紙を含む各社が報じてきたが、やっと“正式発表”を迎えたという印象だ。
今回の発表で重要なのは、成田撤退ではない。収益の8割をあげると言われる羽田路線にも動きがあったことだ。同時に、運賃も見直されている。
エアバスからA380の違約金7億ドル(約700億円)が請求されるとみられるSKY。エアバス側は7月29日にA380全6機の契約解除を明言しており、7月分の受注実績表を見ると、SKYの欄からA380の発注機数を示す数字「6」が消えていた。このことからも、A380の契約解除は明白だ。
冬ダイヤからの路線再編で、SKYはどのような再建の道を歩んでいくのだろうか。
・存続理由なくなった成田
・羽田も再編
・安売りしすぎを改善できるか
・古い737を早期返却
・「欲しくはないが、取られたら苦しい」
羽田路線の今後や機材繰り、他社による買収の可能性などを追った。
存続理由なくなった成田
今回発表された冬ダイヤでは、現在の直行便30路線と経由便3路線、季節便1路線(仙台-那覇線)の計34路線が、直行便23路線と経由便4路線の計27路線に再編される。
直行便では、成田3路線に加えて4月18日就航の茨城-中部線(1日1往復)も、ロードファクター(座席利用率、L/F)低迷により運休。昨年12月に開設後、低迷が続く米子路線については、羽田-米子線(1日2往復)と米子-札幌線(1日1往復)の2路線を、直行便から神戸経由便に再編する。
成田路線は2011年10月30日に就航。A380導入をにらんだ発着枠確保や、2012年のLCC(低コスト航空会社)就航を見据えての進出だった。
7月の成田路線のL/Fは、札幌線が77.2%(前年同月比8.7ポイント上昇)、那覇線が76.4%(1.6ポイント下落)、米子線が30.9%と、米子線を除くと好調に見える。しかし、2013年4月から12月までを路線別業績を見ると、黒字は8月のみ。12月時点での営業利益は約34億円の赤字だった。
SKYが今年1月に明らかにした2014年4月から15年3月までの業績予想では、成田路線の営業利益は札幌線と那覇線、米子線の3路線に再編することで、約9億円の赤字に圧縮できると見込んでいた。しかし、運賃競争が激化していることから、路線別の損益分岐点はLCC並みの80-85%以上とみられ、現状では不採算路線に変わりはなく、撤退を決めた。
2015年夏までに開設を予定していた、A380による成田-ニューヨーク線が立ち消えとなった今、LCC各社との消耗戦になるだけで赤字を生み続ける成田は、存続理由がなくなったと言える。
羽田も再編
成田撤退とともに動きがあった米子路線のうち、羽田-米子線は運休で羽田の発着枠が浮いた。これを羽田-福岡線と神戸線に1往復ずつ転用。福岡線は1日11往復、神戸線は1日7往復に増便する。
福岡線は、羽田発福岡行き最終BC027便と福岡発羽田行き始発BC002便を除き、座席幅が広い「グリーンシート」を備えたエアバスA330-300型機(271席)で運航する。
7月の羽田-福岡線の実績は、提供座席数が前年同月比12.8%増の13万6131席だったのに対し、搭乗者数は2.6%増の9万9530人にとどまった。
L/Fは73.1%(7.2ポイント下落)と堅調だが、機材がボーイング737-800型機(177席)から1.5倍大型化したことに加えて1往復の増便は、L/Fの低下につながる恐れがある。
安売りしすぎを改善できるか
こうした路線再編に合わせて、冬ダイヤの運賃見直しが発表された。片道の普通運賃については、夏ダイヤ最後の10月1日から25日のものと比べると、もっとも値上がりするのが
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