ジェイティービー(JTB)は3月25日、中国最大のLCC(低コスト航空会社)である春秋航空(CQH)の日本法人、春秋航空日本(SJO)に出資し、業務提携すると発表した。
SJOは成田を拠点とする国内線LCCで、高松と広島、佐賀へ6月27日から就航予定。各路線とも1日2往復で運航を始める。上海が拠点のCQHは、茨城や高松、佐賀、関西空港へ乗り入れており、中国から日本へ送客するルートを春秋グループとして持っている。
JTBは中国からの旅客に対し、安価な運賃と日本国内での付加価値の高い旅行サービスを提供するとともに、SJOの国内路線網を組み合わせたツアーを販売する。
両社は2年前から協議の場を設け、数億円規模の出資が今回決定。JTBの出資比率は5%以内となる。株式の取得先と金額は非公開とした。
提携により、JTBは4月1日付で管理職級の社員1人をSJOに派遣。旅行商品の企画などに携わる。
中国発と日本発の旅客比率については、半々を目指す。JTBの田川博己社長は「(中国発と日本発の)双方向でやりたい」と述べ、春秋グループの王正華会長は「(日中で)同じような比率を考えている」と語った。
JTBが航空会社に出資するのは、日本航空(JAL、9201)と全日本空輸(ANA)に続いて3社目となる。JALとANAは株を持ち合う関係だが、田川社長はSJOについて「ツアーを作るための座席確保」と説明。東京オリンピックが開催される2020年までに、JALやANAといったレガシーキャリアだけでは提供座席数が大幅に増えないことへの対応策のひとつであるとし、LCC事業への進出を意図するものではないとした。
一方、王会長はJTBをパートナーとした理由を「中国で実績を残しており、日本一、世界一とも誇れる企業。サービス品質などをJTBから学びたい」と述べた。
また、今後の日本でのLCCのシェアについて、田川社長は「欧米ではレジャーはチャーター、生活(用途)はLCC、ビジネスはレガシーと棲み分けが進んでいる。レガシーとLCCが3分の1ずつになるのではないか」との見方を示した。
*同日発表になった運航スケジュールはこちら。