ANAホールディングス(9202)は1月10日、イスラム教徒向け「ハラール食」の機内食で世界最大手のブラヒム・ホールディングス社(マレーシア・クアラルンプール)と業務提携を結んだと発表した。ブラヒムからハラール食のノウハウ提供を受け、ANAグループで機内食を手掛けるANAケータリングサービス(ANAC)が自前で提供できる体制を整える。
イスラム教徒は全世界で約16億人いると言われ、マレーシアをはじめ東南アジアや中東など、イスラム圏からの訪日需要の獲得を目指す。ハラールは、イスラム法において合法を意味するアラビア語。食事では、イスラム教徒が問題なく食べられるものを指し、豚やアルコール、その派生品は禁止で、その他の食材もイスラム法に則って処理されている必要があり、豚肉料理に使用した包丁や食器なども使えない。
ANAHDによると、マレーシアはハラール食の基準が特に厳格であるため、同国のブラヒムから指導を受けることが、ANACがハラール食を提供していく上でもっとも確実だと判断したという。ハラールの認証を得るには半年ほどかかるため、14年秋以降に提供を始める見通し。現在はハラール食のメニューは2種類に限られているが、自前調理に切り替えることでメニューを増やす。
一方、ANACからはブラヒムに和食のノウハウを提供。ブラヒムはレトルト食品工場を傘下に有しており、提携第一弾として日本風カレーをイスラム圏で販売する支援を手掛ける。ANACは調理方法など技術指導や、調味料の調達といったノウハウをブラヒムに伝授する。
ANACの2012年度の売上高は150億円で、このうち85%がANAとの取引。16年度には200億円に引き上げるとともに、グループ外からの売上比率を現在の15%から40%へ高める。現在ANACは、シンガポール航空(SIA)やエア・カナダ(ACA)、オーストリア航空(AUA)、アシアナ航空(AAR)など国内外の航空会社8社の機内食関連事業を受託しており、ハラール食対応でイスラム圏の航空会社からも受注を目指す。