ボーイングと東京大学生産技術研究所(東大生研)、三菱重工業(7011)、川崎重工業(7012)、富士重工業(7270)が経済産業省と進める「CMI(先進ものづくりコンソーシアム)」に11月12日、東レ(3402)など国内5社が加わった。航空機の製造効率化につながる革新的な技術を共同研究し、急成長する新興国に対抗する。
CMIは今年4月に設立。新興国を上回るスピードで技術開発するため、国内の重工3社が共通する課題を効率良く解決することを目的としている。活動期間は2013年度から17年度までの5年間が第1期で、東大生研の帯川利之教授は「チタン合金の切削加工技術を高速化できた」とこれまでの成果を述べた。
帯川教授によると、従来のチタン加工工程では最後に手作業の仕上げを行う必要があったが、これをなくすレベルに達したことで30%程度効率化できるという。
今回新規加入したのは、工作機械のDMG森精機(6141)、切削工具のオーエスジー(6136)と住友電工ハードメタル、三菱マテリアル(5711)、炭素繊維の東レ(3402)の5社。CMIは切削加工や接合など航空機の機体製造技術を研究テーマとしており、今回工具メーカーなどが加わったことで、加工コストの低減や組み立て精度向上に寄与する技術研究を進める。
ボーイングのジョン・トレーシー最高技術責任者(CTO)は、「日本企業とは60年間パートナーシップを結んできた。CMIは日本との関係をさらに深める道具になる」と述べ、20%から50%程度の効率化を実現したいと語った。また、ボーイングが777の後継機として計画中の777Xについては、「777は日本企業がキーパートナーだったので、参画することに疑問の余地はない」として、777Xの製造に日本企業が参画する可能性を示した。
重工3社に台頭する具体的な新興国を尋ねると、「具体的な国は控えるが、人件費が安く、設備や技術に思い切った投資ができるアジアの国」(三菱重工・鯨井洋一常務)、「最近LCC(ローコストカントリー)に対して日本メーカーは苦戦している。複合材などは日本が優位だが、単純加工は東南アジアが脅威」(川崎重工・石川主典常務)、「韓国や中国、ロシア、アジア各国がコスト競争力を持っている。日本メーカーの品質はすばらしいと自負しているので、CMIが有効に機能することでコスト競争力を持って対抗していきたい」(富士重工・小林孝行航空宇宙カンパニー航空機設計部長)と語った。
トレーシーCTOは、CMIによる効率化について「品質向上だけではなく、作業の効率的で機体価格を引き下げられる」と述べたが、価格引き下げにどの程度つながるかは明言を避けた。
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