シンガポール航空(SIA)が100%出資するLCC(低コスト航空会社)のスクート(SCO)は、2014年11月からボーイング787-9型機を日本路線に導入する。来日したキャンベル・ウィルソンCEO(最高経営責任者)が10月28日、明らかにした。
SCOは現在6機の777-200(402席)を運航しているが、12年10月に787-8と787-9を10機ずつ、計20機を導入すると発表。いずれも親会社のSIAが06年10月に発注した機体で、エンジンは英ロールス・ロイス製トレント1000を搭載する。「燃費が1座席あたり27%向上する」(ウィルソンCEO)として、運航コストの半分以上を占める燃油費を抑えたい考え。
座席数は787-8が320席程度、787-9が360席程度となる見込みで、14年11月に受領する最初の機体から6機目までは787-9を予定している。ウィルソンCEOは日本路線への787導入について「1番目か2番目になるだろう」と語った。
今後の路線計画について、ウィルソンCEOは「4時間から最長9時間のフライトを、路線の中心としたい」と語り、シンガポールからニュージーランド、中東、日本、韓国、インドを挙げた。
あす29日で、SCOは成田就航から1年を迎える。全体の平均ロードファクター(座席利用率、L/F)が80%以上であるのに対し、成田-台北-シンガポール線は7-9月期は「92%と大変好調。定時運航率も90%後半の水準で、日本では台風以外で欠航していない」(ウィルソンCEO)と、利用が好調であるほか、運航品質が高いことも強調した。
成田線の増便や国内の他都市への就航について尋ねると「今後4年間の計画を策定中だ。日本路線は大変業績が良いので増便したい。それが成田線の増便か、他都市への就航になるかは検討中だ」(ウィルソンCEO)と述べるにとどめた。
成田以外への就航についてウィルソンCEOは、「400席埋めるためには、人口が多い都市になる。日本で5本の指に入る大都市になるだろう。関西空港は周辺人口が多く選択肢のひとつだ。白川郷には就航しない」とジョークを交えて応じた。坪川成樹日本・韓国支社長は、「旅行代理店にツアーを組んでもらうにはデイリー運航であること」として、他都市へ就航する場合は、当初から毎日運航する考えを示した。
また、成田とシンガポールを直行便で運航することについては、「台北に寄ることで、従来拾えなかった需要が拾えている。また、シンガポールと台北を飛ばす別の機材が必要になる」(ウィルソンCEO)、「成田発は台北へ向かう人が8割」(坪川支社長)として、当面は機材繰りと需要の関係で台北経由便とする見込み。
ウィルソンCEOによると、当初はシンガポールから日本を訪れる乗客の比率が高かったが、現在は日本人乗客の比率も全体の半分以上まで上昇しているという。坪川支社長は「旅行代理店とウェブサイトでの直販の比率は、8割が代理店経由」と、日本では代理店の販売比率が高いことを明らかにした。
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スクート
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