2006年3月のスターフライヤー(SFJ、9206)就航当初から、同社を8年間支えてきた機体が10月3日、ラストフライトを迎えた。同社が運航するエアバスA320型機の初号機(登録番号JA01MC)で、羽田発北九州行き83便を最後に退役した。
SFJは初号機を2005年12月12日に仏トゥールーズで受領。当時は北九州空港が開港前だったため、羽田空港へ同年12月16日に到着した。座席数は144席仕様で、就航当初導入した3機のうちの1機。06年1月16日夜、羽田空港で報道関係者に公開され、同年3月16日の北九州発羽田行き72便から商業運航を開始した。
同機はGECAS(GEキャピタル・アビエーション)からのリース機で、総飛行時間は約2万3694時間、総飛行回数1万9651回、運んだ乗客数は延べ200万人だった。SFJの退役機は同機が初めて。
最終便となった83便は乗客90人(うち幼児1人)を乗せ、午後5時29分に横断幕を手にしたSFJの社員に出迎えられて北九州空港に到着。米原愼一社長は「SFJの礎を築いてくれた機体。改めて感謝したい」とねぎらった。
北九州空港に到着後、初号機のコックピットには涙を流す表情のボードが掲げられた。機長を務めた千場(ちば)弘之運航乗員部長によると、同社の羽田勤務の整備士が手作りで用意したものだという。「会社を背負って立ってきた大事な飛行機なので、感謝の気持ちを込めてフライトさせてもらった」と感想を語った。初号機最後の着陸は、菊池郁夫副機長が担当した。
乗客が降機後、米原社長をはじめ、SFJの社員が機内を清掃。清掃を終えた社員らはジュースを手に乾杯し、8年間大きな事故なく運航を終えた初号機を祝った。
同機は11日早朝、フィリピン・マニラにあるルフトハンザ・テクニーク社へ向けて北九州を出発。SFJが重整備を委託している同社で整備後、スペインの航空会社で第二の人生を送るという。
SFJでは今後、初期導入機のリース返却を進めて機材更新を図り、2015年度には12機体制を目指す。初号機を置き換える11号機(JA21MC)は、9月20日に北九州空港へ到着した。
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