ボーイング民間航空機部門のスコット・ファンチャー航空機開発担当バイス・プレジデント兼ゼネラル・マネージャーは都内で8月2日、787-9や787-10、777Xなど開発中の機体の進捗を報道関係者に報告した。777Xのバッテリーシステムについて、現時点ではリチウムイオン電池の採用は検討していないとAviation Wireの質問に応じた。
787-9、787-10
787型機の長胴型となる787-9については、「計画よりも2年半以上早くなっている」と進捗を報告。座席数250から290席の同機は今後、今年下半期中に初飛行を行い、2014年中頃までにローンチカスタマーのニュージーランド航空(ANZ)へ初号機が引き渡される予定。
6月のパリ航空ショーでローンチした787-10は、座席数が300から330席。全長は787-9より5.5メートル延長され、68メートルを計画している。航続距離は7000海里(1万2964km)で、双通路機による運航路線の90%以上が含まれる。燃料効率性は、同サイズの既存機との比較で25%、エアバスA350 XWBと比べて10%向上するとした。最終組立と試験飛行は17年初頭、初号機の引き渡しは18年を予定している。
777X
777-300ERの後継となる777Xは、座席数が350席の777-8Xと、400席の777-9Xの2機種で構成し、客室窓の大型化を行う。エンジンは現行の777に搭載されている米GE製GE90の最新型「GE9X」を搭載する。
777Xの主翼には787に続いて複合材が使用されるが、胴体は787のように複合材は用いず、アルミ合金を用いる計画。主翼と胴体の素材についてファンチャー氏は「アルミや複合材、他の金属を検討したが、コストやパフォーマンスを考えると、複合材を主翼に使うのがベストだと考えた」と述べた。
現在運航中の787-8では、リチウムイオン電池を用いたバッテリーシステムでトラブルが発生し、改良が行われた。787-10と777Xでリチウムイオン電池を採用するかについて、ファンチャー氏は両機種とも仕様が確定していないと前置きした上で、「787-10は787-9の胴体延長型。機体のシステム全体に大きな変更はないだろう」と見通しを述べ、777Xについては「現在は検討していない」と語った。
777Xのローンチ時期は年内とみられる。
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Boeing
ボーイング・ジャパン
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