リージョナルジェット機「MRJ」を開発中の三菱航空機は、10-12月期に予定していた初飛行を延期する意向を固めた。主要部品の調達が計画よりも遅れているためで、8月下旬にも新たな開発スケジュールを発表する見通し。
MRJは国産旅客機だが、エンジンをはじめ機体の主要部品の大半は海外製。機体製造経験の浅さが、調達見通しの甘さにつながったとみられる。
当初MRJの初飛行は2011年、初号機納入は13年の予定だったが、主翼の材料を複合材から金属に変更したことなどで1年遅れが決定。15年半ばに初号機を引き渡す現在のスケジュールは、昨年4月に2回目の見直しで決まったもので、今回のスケジュール見直しが決定すると、3度目の延期となる。
現在の受注数は325機で、今から受注した機体は7年先の20年ごろの引き渡しとなってしまう。三菱航空機の川井昭陽社長は、今年3月に当紙のインタビューに対し、当面の受注について「(納入が)5年以上先になってしまうので、お客さんも今はお付き合い程度、という感じになる」との見方を示している。
生産能力との兼ね合いで受注を大幅に増やせない中、開発遅延が重なることで、顧客からキャンセルを突きつけられるおそれがある。
初飛行は14年以降にずれ込む見通しだが、関係者の話を総合すると、年明け早々の初飛行は難しいという。
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