コンピューターによる運航や操縦の自動制御など、数々のオートメーションシステムは、効率的な飛行を提供するにとどまらず、安全性の向上にも貢献している。
ここで言うオートメーションシステムとは、地上にいる航空管制官のシステムも含めているが、空港で次々と離着陸を行う高密度運航が当たり前となった昨今、機体に装備されたオートメーションシステムなしに、飛行機を飛ばすのは不可能であると言って過言ではない。
アシアナ機事故について、極めて低速、かつ通常の進入角よりも低い角度での進入(アプローチ)が判明しているが、なぜあのような飛行を行ったのか。いや、結果として、そうなってしまったのか。
これにはオートメーションシステムを「活用」するよりは、むしろ「依存」しているとも言えるパイロットの錯覚があったのではないか、と筆者は考える。
事故までの5分間に何が起きたのか──。今回と次回は、オートメーションシステムが招く錯覚を取り上げる。
手動で着陸できなければパイロットではない
アシアナ機(ボーイング777-200ER型機、登録番号HL7742)はどう飛んだのか。正確には米国家運輸安全委員会(NTSB)の正式発表を待つほかないが、想定される経路は図1と図2の通りだ。いずれもサンフランシスコ国際空港へ着陸するパイロットが使用する
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