エアライン, 解説・コラム — 2013年7月4日 22:30 JST

コンビニで老若攻めるジェットスター・ジャパン、関空拠点化は20機体制に間に合うか

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 7月3日で就航1周年を迎えたジェットスター・ジャパン(JJP)。4日には全国にコンビニエンスストア約1万店を展開するローソンと提携し、コンビニで予約から決済まで行えるサービスを開始した。自社のウェブサイトやコールセンター経由の直販が売上全体の8割を占め、旅行代理店での販売は2割というJJPとしては、実店舗で現金決済できるコンビニ経由の売上を、2年目以降は1割を占めるまでに育てたい考えだ。

 同じく成田空港を拠点とするエアアジア・ジャパン(WAJ)は、日本人には決して使い勝手が良いとは言えない、マレーシア流ウェブサイトでの直販を重視しすぎたため、利用者の中には購入時点で挫折してしまう人も多く、苦戦を強いられた。JJPは直販や代理店経由に次ぐ第3の販路として、日本人になじみのあるコンビニを新規開拓の拠点に育て上げられるだろうか。また、延期に次ぐ延期となっている関西空港の第2拠点化は、ハイペースで進む増機に間に合うのだろうか。

ローソンとの提携発表の場で玉塚COO(左2人目)とともに端末「ロッピー」のオブジェを除幕するジェットスター・ジャパンの鈴木社長=7月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire(ほかも同じ)

コンビニで老若両方攻める

ローソンとの提携で若年層と高齢者層双方に攻勢をかける鈴木社長

 以前はコンビニと言えば若年層の利用が多かったが、近年は高齢者の利用も広がっており、インターネットが苦手な高齢者と、クレジットカードを持たない若年層を一挙に取り込めるという点で、有望な販路だ。

 ローソン側からの提案をきっかけに、今回のサービスを始めたと明かすJJPの鈴木みゆき社長によると、ローソンとの契約は排他的ではないため、他のコンビニチェーンとの提携も視野に入れていると語る。

 JJPの客層は、現在54%が男性で、年齢層は若者からお年寄りまで幅広いという。搭乗者数は就航1周年を迎えた3日時点で160万人を超え、「8月頭までには200万人に届くのではないか」(鈴木社長)と話す。関空を拠点とするピーチ・アビエーション(APJ)は、初便就航から1年2カ月目の5月に200万人を突破している。

 成田の市場規模について尋ねると、鈴木社長は「十分開拓の余地がある。成田経由で札幌や沖縄へ向かう人は1年前と比べて3倍に増えた。既存の航空会社もそんなにカニバッた(食い合った)わけではないので、潜在需要が顕在化したものだ」と、自信を示した。

関空第2拠点化は10月がリミット?

鹿児島空港を離陸する中部行き初便。増機に合わせて路線網拡充もハイペースで進むジェットスター・ジャパン

 搭乗者数が順調に増える一方、関空の第2拠点化は昨秋から幾度となく延期されている。昨年11月に整備士2人が確認主任者の資格要件を満たしておらず、国土交通省から厳重注意を受けたことが発端だ。

 現在JJPは13機のエアバスA320型機(180席)を受領済みで、12機が運航中。13機目も7月中には運航開始できる見込みで、13機のうち1機は当面予備機として運用する。年内には20機体制となる予定で、第2拠点の開設までに残された時間はわずかだ。

 再三の延期後、当初は今月17日には国交省から拠点化の承認を得て、18日に開設予定だった。鈴木社長は「整備体制を盤石にしたい」として、成田での体制構築に専念する判断を下した。関空の拠点化は、数カ月程度かかるとの見通しを示した。

 では、数カ月とは具体的にいつなのだろうか。当初関空には拠点化時に2機常駐させる計画だった。7月から年末までに残り7機を受領するとなると、ほぼ毎月1機ずつ機体が増えていく。このことから、遅くとも夏ダイヤが終わる10月までには、第2拠点を開設すると考えるのが現実的。計画から1年越しの第2拠点開設は、喫緊の課題だ。

搭乗率は70%前後、定時出発率は90%前後

 直近3カ月間の搭乗率は、4月が72.7%、5月が74.8%、6月が68.9%と、低コスト航空会社(LCC)の損益分岐点と言われる80%には満たないが、国内大手2社の国内線の数値よりは10%以上高い。

 また、LCCと言えば遅延が指摘されがちだが、定時出発率は4月が83%、5月が93%、6月が91%と9割前後を維持している。

 就航から3年以内の黒字化を目指すJJP。コンビニという拡販の武器を得て、どのような2年目となるのだろうか。

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