全日本空輸(ANA)の伊東信一郎会長(ANAホールディングス社長)は4月28日、ボーイング787型機による定期便の運航を6月1日から再開できた場合、777など他機種をボーイングから前倒し受領する必要性はないとの見通しを語った。
改良型バッテリーを搭載した787による1回目の試験飛行を終えた後の会見で、伊東会長はこれまでの機材繰りについて、「777を前倒しで2機受領したが、大きく(納期を)短縮できたわけではなかった。退役を伸ばしたりオペレーションの工夫で欠航を抑えた」と説明。計画通り6月から787の定期便を再開できれば、さらなる機材の前倒し受領は不要だとの考えを示した。
ANAの787による運航便は、国内線は1日に10機を使用して60便ほど、国際線は8便を運航していたが、1日あたりの欠航は国内線が10便から20便程度、国際線が2便から3便に抑えたという。
787による定期便運航は、エチオピア航空(ETH)が27日に世界で初めて再開したが、ANAや日本航空(JAL、9201)は6月からを予定。再開までに約1カ月の時間を設けることについて尋ねると、伊東会長は「情報開示の努力をしながら、安全だけではなくお客様に安心していただけるように我々自身が行う必要がある。自信を持った段階で再開したい」として、安全性を自社で確認することや利用者へ周知するためには、一定期間が必要であると語った。
試験飛行の操縦を担当した運航本部フライトオペレーションセンターB787部長の丸井祐一機長は、約3カ月半の運航停止について「長かったが十分な時間が必要だった」と振り返った。子どもに向けた説明を求められると「悪いところは全部直してあるので安全です」と話した。
伊東会長は5月に臨時便の運航を検討していることを明らかにしたが、国際線と国内線のどちらになるかなどの詳細は現時点で決まっていないとした。また、利用者への情報開示については「ホームページを自分たちで作り、日本と世界にどのような取り組みを行っているかをわかりやすく伝えたい」と述べた。
現在17機を受領している787は、当初12年度分として3月末までに3機を受領予定だった。この3機に加えて13年度は7機の受領を予定しており、14年3月末までの受領機数は10機を計画。今後の787の導入計画に変更はないと話した。
ANAは787-8を受領済みの機体を含めて36機、長胴型の787-9を30機の計66機を発注している。
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