4月1日は多くの会社で入社式が行われた。新入社員研修が始まった社も多いだろう。
3月31日付で日本航空(JAL、9201)の取締役を退任し、4月以降は経営から退いた上、名誉会長として新経営陣に助言を行っていくことになった稲盛和夫氏。事実上の退任会見となった、3月19日に行われた最後の定例会見では、JALの幹部社員に向けた講演の内容や企業経営者に望むことなども触れ、新入社員に手本を示す経営者や幹部社員に役立つ事柄があった。
立派なことを言う方は多いが…
「経営をしゃべらすと立派なことを言う方は多いけれども、それを実際に実行し、成功できる人は少ない」。JALの幹部に謙虚にしておごらず、という言葉を肝に銘じてやってほしいと話した稲盛氏は続けて、経営者として成功することの難しさを次の言葉に表した。
よく言う者はあれど、よく為す者は少なし
よく為す者はあれど、それを久しくする者はさらに少なし
久しくする者はあれど、敬意を受ける者はさらに少なし
経営をあれこれ評する人は多いが、実際に成功できる人は少ない。そして、成功を長く続けられる人はさらに少なく、その中で世間から敬意を受けることはさらに難しいと述べた。「JALの経営が長く続けられて、一般の方々からも尊敬されるものを目指して欲しい」。これはJALに限らず、どの企業の経営にも当てはまることだろう。
闘争心、闘志、闘魂を燃やせ
企業経営者には「格闘技と同じように、すばらしい闘魂が必要。闘志なき経営者では立派な企業を引っ張っていくことはできない」とのメッセージを送った。
京セラ創業時から無我夢中だったと振り返る稲盛氏は、リーダーが強い指導力を持ち、どういう企業にしたいのかを明示し、社員を引っ張っていくことの重要性を説いた。
「闘争心、闘志、闘魂を燃やして、自分の企業をなんとしても立派に再建してみせる、立派な企業に変えてみせるという、すさまじいばかりの闘志を燃やしてやっていただきたい」。
今後、企業経営を引き受けることはないと語った稲盛氏。アベノミクスにより閉塞感を打破しつつあると言われる日本経済だが、世界的な競争に日本企業が打ち勝ち存続していくには、稲盛氏が指摘した点が不足しているのではないか。
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