エアライン, ボーイング, 機体, 解説・コラム — 2013年3月20日 09:00 JST

JAL、787トラブルで18億円減益へ 植木社長「補償より改善策に集中を」

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 日本航空(JAL、9201)の植木義晴社長は3月19日、ボーイング787型機の運航停止に伴う売り上げへの影響について、新たに31日から5月31日までの収入減が23億円、費用減が12億円で、11億円の営業減益になることを定例会見で明らかにした。787は1月16日から運航を停止しており、同日から5月31日までに34億円の減収と18億円の営業減益を見込む。補償交渉については、機体の改善が行われた上で進めていく考えを示した。

「改善策に集中してもらいたい」と述べるJALの植木社長=3月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 「いまボーイングを(補償交渉で)煩わすよりも、改善策に集中してもらいたいというのが、私の正直な気持ち」と心境を明かした植木社長は、交渉に必要なデータの準備を進めているとした上で、機体の改善に目途がついた段階で「契約に基づいて淡々と進めていく」と述べた。

 運航再開時期については、米国連邦航空局(FAA)が12日(現地時間)にボーイングが提示したバッテリーシステムの改善策を承認しており、今後FAAや国土交通省航空局(JCAB)がテスト結果をどう判断するかを見極めて判断したいとした。機体改修を行う際は、ボーイングが発行する改修手順を記した書類「サービスブリテン(SB)」がFAAに承認される必要がある。このため、SBの承認時期が明確になるまでは、改修作業の見通しは推測できないという。

 ボーイングが提示しているバッテリーシステムの改善策は、バッテリーのセル単位での発生防止と、不具合が生じた際の拡散防止、機体への影響防止の3段階で構成。ショートにつながる結露など、原因として考えられる約80項目を4グループに分け、これらに対して包括的に対応できる改善策にしたと説明している。

 一方で、ボーイングはトラブルが発生したバッテリーの損傷が激しいことから、原因が明確に究明できない可能性もあるとしている。植木社長は改善策の方向性は正しいとして、「原因がある一点まで究明されていないことに不安を感じられることは理解している。考えられる要因をすべてつぶした上で、二重三重に防御策をとっている。今までもそのような対策がとられてきた」として、利用者にわかりやすく説明することが重要だとの考えを示した。

 JALは787の初号機を2012年3月25日(現地時間)に米国シアトルで受領し、成田空港へは27日夜に到着。現在7機を保有している。発注機数は受領済みの機体を含めて787-8が25機、787-9が20機の計45機で、エンジンはいずれもGE製「GEnx」を搭載する。

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