ボーイング787型機のバッテリートラブルを受け、同社のレイモンド・コナー民間航空機部門社長は2月28日、国土交通省を訪れ、太田昭宏国交相と面談した。コナー社長は記者団に対し、リチウムイオン電池は「航空機に適切な技術」と述べた。
面談を終えたコナー社長は記者団に対し、「深くお詫び申し上げたい。このようなインシデントが起きたことと、我々にとって大切な顧客である全日本空輸(ANA、9202)と日本航空(JAL、9201)に関係したことが非常に残念だ。乗客乗員と機体全体の安全性は我々の最優先事項」と謝罪するとともに、安全性を重要視していることを強調した。
国交相に対しては、「数週間、24時間体制で数百人のエンジニアが対応にあたり、バッテリーの専門家も多数集めた」と報告。リチウムイオン電池についてコナー社長は「航空機に適切な技術だと考えており、これを覆す調査結果は出ていない」と述べた。
バッテリートラブルに関する今回の解決策について、「あらゆる原因となる可能性のあるものを精査し、対応できる解決策。暫定的ではなく、恒久的なものだ」と語る一方、具体的な内容については「航空局(JCAB)や米国連邦航空局(FAA)と協議中であり、現在は公表できない」と応じるにとどめた。
関係者によると、ボーイングがFAAに示した改善策は、8つの独立したセルで構成されるバッテリー内で隣接するセル同士の熱を遮断する構造の導入や、セルが全焼した場合も機体を保護する仕組みなどとされる。
コナー社長は27日午後にANAを訪問し、状況を報告した。JALについては28日午後2時40分の時点で来社の有無は「確認できていない」(JAL広報部)としている。
記者会見は国交相との面談と田村明比古航空局長との面談の間に行われた。記者から多くの質問が投げかけられたが10分ほどで打ち切られた。
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