日本航空(JAL、9201)と日本郵便は1月29日、国際スピード郵便(EMS)による小口の保冷配送サービス「クールEMS」を共同で試験提供すると発表した。試行期間は4月1日から来年3月31日まで。対象地域は台湾とシンガポールで、引受日の翌日から翌々日に配達する。
配送には、荷物の引き受けから配達まで72時間から80時間程度、2℃から10℃で冷蔵できる専用の保冷容器や保冷剤を使用。配達に必要な日数は2日から3日で、国内輸送を日本郵便が、海外への空輸をJALが行う。台湾とシンガポールでは、現地の郵便事業者が配達前に受取人へ在宅確認の電話連絡を行ってから配達する。
受付郵便局は当初、北海道の千歳郵便局と神奈川県の川崎港郵便局の2局。試行結果により、受け付ける郵便局を増やすという。利用する際は、差出日の1週間前までに事前予約を行う必要がある。大きさは長さ34センチ、幅26センチ、高さ23センチまでで、重さは最大15キログラムまで。料金は7000円(500グラムまで)から。
日本郵便の鍋倉眞一社長は「アジアの旅行客から日本の食材をおみやげに持ち帰りたいという要望があった。冷蔵を求められるメロンやカニ、チーズ、チョコレートなどを送れる」と話し、日本の果物や刺身などの生鮮食品を鮮度を保ちながらアジアへ送れると述べた。
JALの植木義晴社長は「医薬品輸送用として長時間の低温輸送を2年前に開始した。その後、食品や医薬品を個人で送りたい、畜産品を海外へ輸出したいという要望があった」と語り、低温輸送サービスの可能性を探っていたところに日本郵便から打診があったという。
今後は上海や香港、韓国などへのエリア拡大や、冷凍品への対応なども両社で検討を進めていく。
生鮮食品のアジアへの配送では、競合する全日本空輸(ANA、9202)とヤマト運輸を傘下に持つヤマトホールディングス(9064)も、昨年10月にクール宅急便のアジア展開を含めて国際物流事業の提携強化を発表している。