米国家運輸安全委員会(NTSB)は現地時間1月27日、同7日にボストンのローガン国際空港で起きた日本航空(JAL、9201)のボーイング787型機(登録番号JA829J)のバッテリー火災について、周辺装置の製造元などで最近行われた調査では重要な発見に至っていないと発表した。
発表によると、火元となった補助動力装置(APU)用の始動用バッテリーはジーエス・ユアサ(6674)が2012年9月に製造。当該機JA829Jは12年12月20日にJALへ引き渡し後、火災発生までに飛行時間は169時間、飛行サイクルは22サイクルを記録していた。現在ワシントンにあるNTSBの材料研究所でバッテリーの分解が続けられており、全部で8つあるセルのうち、最後の1つの分解が始まったという。電子顕微鏡などによる調査が続けられる。
NTSBでは無傷だったメインバッテリーについて、大まかな比較検査を行ったが、明らかな異常は見つからなかったとしている。今後は非破壊検査など、より詳細な検査を実施するという。
また、英メギット傘下のセキュラプレーン・テクノロジー(アリゾナ州ツーソン)が製造したAPUの始動動力装置(SPU)と、ユナイテッド・テクノロジー・エアロスペース・システムズ(アリゾナ州フェニックス)が製造したAPUのコントローラーについてテストを終えたが、動作は正常で重要な発見はなかったとしている。バッテリーのモニタリング装置(BMU)を製造した関東航空計器(神奈川県藤沢市)での調査についても、「重要な発見は得られなかった」とした。
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