関西空港を運営する関西エアポート(KAP)は6月14日、24時間運用のビジネスジェット専用施設「Premium Gate 玉響」(プレミアムゲートたまゆら)を、報道関係者に公開した。専用の保安検査場やCIQ(税関・出入国管理・検疫)などを備え、15日午前0時から運用を始める。
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—記事の概要—
・中華圏からの飛来目立つ
・生きるかLCC成功体験
中華圏からの飛来目立つ
玉響は、LCCが乗り入れる第2ターミナル国内線エリアの一部に新設。面積は373.5平方メートルで、専用の出入口や受付、ソファやテーブルを置いた「スカイラウンジ」、6人が座れる会議室、パウダールームを併設した化粧室、喫煙室を設けた。ホンダジェットのような小型機のほか、米ガルフストリームG650など、乗客数が最大15人程度の大きさのビジネスジェットまでの利用を想定している。
料金は1回20万円(税抜き)で、同様の施設を有する成田の25万円、羽田の26万円よりも価格を抑えた。利用希望日の前日正午までに、ビジネスジェットの運航支援業者がE-mailや電話などで申し込む。
ビジネスジェットの利用者はこれまで、第1ターミナルにある一般の出入国動線しか選択肢がなかったが、専用施設によりプライバシー性の高いサービスが提供できるようになる。
KAPによると、ビジネスジェットが利用できるスポット(駐機場)は18スポットで、2017年1年間の発着回数は、国際と国内合わせて約900回だった。9割以上が海外からの利用で、香港やマカオ、中国、台湾からの訪日や、米国からシンガポールやクアラルンプールへ向かう際、給油で立ち寄るケースが多いという。
関空到着から30分程度でビジネスジェットに搭乗できることから、玉響の1時間当たりの利用は2便程度を想定。スポットは極力近い場所をアサインできるよう、調整するという。当初はビジネスジェットの全発着回数のうち、半数程度の利用を目標に据えている。
KAPでは、2019年開催のG20大阪やラグビーワールドカップ、カジノ誘致、2020年の東京オリンピック・パラリンピックなどを契機に、ビジネスジェットの利用増加を見込んでいる。
生きるかLCC成功体験
国内のビジネスジェット専用施設は、成田空港に首都圏初の専用ターミナル「プレミアゲート」が2012年3月31日にオープン。羽田にも2014年9月30日に開業し、中部も同様の施設を持つ。
玉響は、第2ターミナル旧国際線エリアの一部を改修したもの。関空では2016年4月に民営化される前から、ビジネスジェットへの対応を検討してきたが、これまではLCC誘致が優先課題だったという。施設の場所が確保できたことに加え、第2ターミナルはCIQが24時間稼働していることから、1年ほど前から関係省庁と調整を進め、オープンにこぎ着けた。
KAPによると、関空は日本で唯一の完全24時間空港なので、スロット(発着枠)も定期便の混雑時間帯を除けば、自由に使いやすいという。LCC誘致で息を吹き返した関空だが、24時間運用を武器に、ビジネスジェット誘致に力を入れる。
玉響の開業でビジネスジェットの飛来が増えれば、機体の整備施設を用意するなど、海外と同レベルの受け入れ体制実現も、現実味を帯びそうだ。
関連リンク
Premium Gate 玉響(関西エアポート)
関西国際空港
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