日本航空(JAL/JL、9201)は5月31日、熊本空港周辺で24日に起きた熊本発羽田行きJL632便(ボーイング767-300型機、登録番号JA8980)のエンジントラブルについて、再発防止策や落下物への対応状況を明らかにした。エンジンの監視や点検強化、高圧タービンの追加検査といった再発防止策を実施する。
再発防止策として、エンジン運転データの監視強化や、整備士によるエンジン排気口の点検を強化。当該機と同じ767については、従来行ってきた400飛行サイクルごとの「定例検査」で、燃焼室と高圧タービン部の内視鏡検査を行うことに加え、200飛行サイクルごとの「追加検査」として、高圧タービン1段目と2段目のブレード(動翼)に対する内視鏡検査を設けた。これらは順次実施していくという。
落下物の問い合わせは、屋根や車両、ソーラーパネル、窓ガラスなど53件。屋根やソーラーパネルは、今後重機を使った確認を進める。車両や窓ガラスは修理中で、問い合わせのうち10件は、落下物がなかったことを確認したという。
JALによると、エンジントラブルは24日午後3時55分ごろ、熊本空港の滑走路(RWY07)を離陸後、西9キロ、高度6000フィート(約1829メートル)の地点で発生。離陸後に上昇中にパイロットが振動を感じ、左右に1基ずつあるGE製エンジンCF6-80C2B4Fのうち、左側にある第1エンジンの排気温度が上昇していたため、熊本へ引き返した。
JL632便は、熊本へ午後4時17分に緊急着陸し、同20分に到着。乗客209人(うち幼児1人)と乗員8人(パイロット2人、客室乗務員6人)に、けがはなかった。国土交通省航空局(JCAB)は24日夜、「発動機(エンジン)の破損(破片が発動機のケースを貫通)」に準ずる事態として、航空事故につながりかねない「重大インシデント」に認定した。
機体を調べている運輸安全委員会(JTSB)によると、高圧タービンの2段目ブレード(動翼)と、低圧タービンが損傷していたことがわかったという。
JALは767を35機保有しており、30日朝までに、トラブルが起きたエンジンを除いた767が使用するエンジン69基について、内視鏡を使った高圧タービンブレードの緊急検査を完了。不具合がないことを確認したという。
また、28日に別の機体の右エンジンで、今回の緊急点検では対象外の部位に不具合が見つかったため、エンジンを交換した。
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