米国家運輸安全委員会(NTSB)のデボラ・ハースマン委員長は現地時間1月24日、同7日にボストンのローガン国際空港で起きた日本航空(JAL、9201)のボーイング787型機(登録番号JA829J)のバッテリー火災について、「バッテリー発火に多くの疑問が残っており、あらゆる潜在的要因を排除していない」と調査の現状を述べた。また、損傷を受けたバッテリー内部や後部電気室の写真なども公表した。
発表によると、当該機は現地時間午前10時6分に成田発ボストン行きJL008便(乗客172人、乗員11人の183人)がローガン空港のゲートに到着。同32に分に整備士と清掃係員が機内で煙に気づいた。同35分に整備士が後部電気室にある補助動力装置(APU)用の始動用バッテリーからの出火を確認、同37分に空港の消防へ通報、同40分に消防が現場へ到着し、午後0時19分に鎮火が報告された。
NTSBの調査チームはこれまでに、リチウムイオン電池の充電装置(BCU)や始動動力装置(SPU)を製造した英メギット傘下のセキュラプレーン・テクノロジー(アリゾナ州ツーソン)や、APUのコントローラーを製造したユナイテッド・テクノロジー・エアロスペース・システムズ(アリゾナ州フェニックス)、ボーイング(ワシントン州シアトル)での調査を実施。日本ではバッテリーのモニタリング装置(BMU)を製造した関東航空計器(神奈川県藤沢市)で調査を実施したと報告。NTSBではBMUの回路基板は損傷を受けており、得られる情報は限られるとの見方を示している。
NTSBでは火元となったAPU始動用バッテリーと、これを構成するリチウムイオン電池のセルの仕様を公表。公称容量はセルとバッテリーともに75アンペアアワー、公称電圧はセルが3.7ボルト、バッテリーが29.6ボルト、電圧範囲はセルが2.5から4.025ボルト、バッテリーが20から32.2ボルト、重量はセルが6.0ポンド、バッテリーが63ポンド、寸法はセルが5.2インチ(幅)×2.0インチ(奥行き)×7.7インチ(高さ)、バッテリーが10.9インチ(幅)×14.2インチ(奥行き)×8.5インチ(高さ)となっている。
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