エアライン, 機体 — 2018年3月29日 11:36 JST

ANA、ホンダジェットでチャーター参入　ホンダや双日と提携　片野坂社長「日本でも移動手段の選択肢に」

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　ANAホールディングス（ANAHD、9202）と本田技研工業（7267）の米国子会社ホンダエアクラフトカンパニー（HACI）は3月28日、ビジネスジェット市場の拡大に向けた戦略的パートナーシップに関する基本合意書を締結した。HACIの小型ビジネスジェット機「HondaJet（ホンダジェット）」を、欧米など海外渡航先でのチャーター便に利用する。

ホンダジェットによるビジネスジェットのチャーター事業に参入するANAホールディングスの片野坂社長（中央）とホンダエアクラフトカンパニーの藤野社長（右）、双日の藤本社長＝18年3月28日 PHOTO: Yoshikazu TSUNO/Aviation Wire

ホンダジェットによるビジネスジェットチャーター事業参入を発表するANAホールディングスの片野坂社長（中央）と提携する双日の藤本社長（左）、ホンダエアクラフトカンパニーの藤野社長＝18年3月28日 PHOTO: Yoshikazu TSUNO/Aviation Wire

　ビジネスジェットは、航空会社による定期便が就航していない都市間を結べることや、利用したい時間に運航しやすいことから、企業のニーズが世界的に高まっている。国内のビジネスジェット市場は欧米と比べて規模が小さいが、ANAHDは傘下の全日本空輸（ANA/NH）を含むグループ全体で同市場に取り組み、HACIと連携することで市場拡大を目指す。

　ホンダジェットはHACIが開発。標準仕様で乗客5人が乗れ、パイロット1人でも運航できる。エンジンは米GEとの合弁会社GEホンダ製HF120を搭載し、航続距離は2265キロ（1223海里）。ロサンゼルスを起点とした場合、サンフランシスコやラスベガス、デンバーなどへ飛行でき、ロンドンからはパリやフランクフルト、ローマ、バルセロナなどへ飛べる。

　ビジネスジェットなどの業界団体・全米航空機製造者協会（GAMA）によると、ホンダジェットは2017年通期（1-12月期）に、カテゴリーで世界最多となる43機を顧客に納入。もっとも売れているビジネスジェットとなっている。

　また、ANAHDは28日に、航空機調達で長年取引がある双日（2768）と、共同で新会社「ANAビジネスジェット」を今夏に設立すると発表。ビジネスジェットを活用したチャーター手配事業に参入する。資本金は2億円で、出資比率はANAHDが51％、双日が49％となる。

　新会社では、ANAの国際線から欧米で乗り継ぐチャーター便や、日本から海外へ直接向かうチャーター便の手配、地上での移動手段やホテル、飲食店など、ビジネスジェットの利用をトータルでサポートする事業を展開する。また、HACIが新会社の事業を支援していく。

　ANAHDの片野坂真哉社長は、「顧客にヒアリングしたところ、ANAの国際線で北米や欧州に移動し、ビジネスジェットで効果的に移動するニーズが存在することを実感した。日本から海外の目的地への直行チャーター便は、移動時間を短縮でき、機内でミーティングを開くなど時間を有効活用でき、お客様の時間的価値を最大化できる」と、ビジネスジェットの利便性の高さを強調した。

　ANAHDは、2月に発表した2018-2022年度の中期経営計画で、新規事業領域への参入に触れている。片野坂社長は、「ビジネスジェット事業に関心を持ったきっかけは、3年前にHACIの藤野道格社長との出会い。ホンダジェットの将来性への熱い思いを感じ、非常に強いインパクトを受けた。経済性にすぐれたホンダジェットで新たな価値を提供できる。日本人の移動手段の選択肢となるように取り組みたい」と、HACIとの提携に至った経緯を説明した。

　双日の藤本昌義社長は、「2003年から長年にわたり、ビジネスジェット事業を展開してきた。ビジネスジェット市場は2014年以降、国内空港の国際線発着回数で10％超の成長を示しており、今後加速するとみている」と、ビジネスジェット市場の将来性を示した。

　HACIの藤野社長は、「ビジネスジェットの利用は欧米では一般的で、ビジネスツールになっている。時間効率だけではなく、快適性でも今までのサービスをはるかに超えるものを提供できると確信している」と語った。