2年に一度、偶数年に開かれるシンガポール航空ショーが現地時間2月6日に開幕した。世界最大規模で奇数年夏に開かれるパリ、偶数年夏にロンドン近郊で開かれるファンボローに次ぐ世界3大航空ショーだが、パリやファンボローと比較すると民間機の展示が少ない傾向にある。
今回、ボーイングの実機展示は米国やシンガポールの軍用機のみで、787-10や737 MAXといった民間機は模型のみ。一方、エアバスは中東・アジアツアーで各国を歴訪しているA350-1000の飛行試験機を地上展示している。
ボンバルディアは100-150席クラスの小型機「Cシリーズ」のうち、ラトビアのエア・バルティック(BTI/BT)のCS300、エンブラエルはE190-E2の飛行試験機などを展示。エンブラエルはE190-E2をはじめとする「E2シリーズ」について、既存のE175など「Eジェット」の顧客から寄せられた意見を基に、部品交換や整備にかかる時間を短縮した点をアピールしていた。
ビジネスジェットも、ボンバルディアやエンブラエル、ガルフストリーム、セスナなどが出展しており、ホンダ エアクラフト カンパニー(HACI)もホンダジェットを展示している。
一方、三菱航空機が開発中のリージョナルジェット機MRJは、実機やモックアップの展示はなく、競合となるエンブラエルの隣にブースを出展するのみとなった。
MRJは、1月に初のキャンセルが発生。米国のイースタン航空と結んでいた最大40機の契約がキャンセルとなり、MRJの確定発注は20機減の213機となった。キャンセルの原因はイースタンの経営悪化によるもので、今のところ納期が5回延期となったことによるキャンセルは生じていない。
三菱航空機の福原裕悟・営業本部副本部長は、米モーゼスレイクで実施しているMRJの飛行試験が1700時間を超えたと説明。「飛行試験の時間は目安ではあるが、時間的にも項目的にも中間点を過ぎた。飛行試験で問題点を洗い出しているが、想定外の問題は起きていない」として、2020年中ごろの初号機納入に向けてスケジュールに沿った開発が進んでいることを、アジアを中心とした顧客に会場で直接説明しているという。
*シンガポール航空ショーの写真特集はこちら。
*福原副本部長へのインタビューはこちら。
関連リンク
Singapore Airshow 2018
Boeing
Airbus
Bombardier Commercial Aircraft
Embraer
MRJ
三菱航空機・福原副本部長インタビュー
・MRJ「想定外の大問題起きてない」(18年2月13日)
写真特集・シンガポール航空ショー2018
(1)A350-1000試験機の機内(18年2月12日)
(2)巨大貨物室が人気のC-17(18年2月12日)
(3)創設50周年塗装F-15SGや米F-22も(18年2月13日)
MRJ・A350-1000・787-10
・三菱重工、17年4-12月期純利益248億円 宮永社長「MRJキャンセル影響ない」(18年2月7日)
・MRJ、初のキャンセル イースタン航空分、確定発注213機に(18年1月26日)
・A350-1000が東京初飛来へ エアバス、2月にアジア太平洋ツアー(18年1月27日)
・787-10、FAAから認証取得 初納入はシンガポール航空(18年1月23日)