三菱重工業(7011)が2月6日に発表した2017年4-12月期(第3四半期)の連結決算は、純損益が247億6500万円の黒字(前年同期は112億4000万円の赤字)だった。売上高は2兆8514億200万円(前年同期比5.8%増)、営業利益は800億6900万円(16.9%増)、経常利益は911億8100万円(78.9%増)となった。2018年3月期の通期見通しは据え置いた。
—記事の概要—
・航空・防衛・宇宙
・18年3月期通期予想
航空・防衛・宇宙
セグメント別のうち航空・防衛・宇宙は、受注高が3515億円(前年同期比440億円減)、売上高が5170億円(432億円増)、営業利益は28億円(13億円増)。受注高は自衛隊機の減少によるもの。売上高は宇宙機器と艦艇が増加したため、前年同期を上回った。
営業利益は、宇宙機器と艦艇の売上増加と、ボーイング777型機や787など民間航空機のコスト改善が奏功したものの、子会社の三菱航空機が開発中のリージョナルジェット機「MRJ」の開発費増加が減益要因となった。
三菱重工は、ボーイングのTier1(1次請け)として787の複合材主翼を製造するほか、777の後部胴体などを担当。777の後継となる777Xでは、後部と尾部胴体の開発・製造を担う。このほか、英ロールス・ロイス製エンジンの燃焼器モジュールや、低圧タービンブレードなどを手掛けている。
MRJは、1月に初の初のキャンセルが発生。米国のイースタン航空と結んでいた最大40機の契約がキャンセルとなり、MRJの確定発注は20機減の213機となった。
三菱重工の宮永俊一社長は、イースタンのキャンセルについて「経営状況がある時から厳しくなり、基本的にはあり得ると思っていた」と述べ、事業への影響は「ないと思っている」との見方を示した。
18年3月期通期予想
2018年3月期の通期業績見通しは、前回2017年10月31日発表から据え置いた。売上高が4兆500億円(17年3月期比3.5%増)、営業利益は1800億円(19.6%増)、経常利益は1700億円(36.8%増)、純利益は800億円(8.8%減)を見込む。
セグメント別のうち航空・防衛・宇宙は、受注高が6000億円(17年3月期比3550億円減、売上高は6500億円(534億円減)、営業利益は100億円(90億円増)を見込む。
為替レートは1ドル110円、1ユーロ130円を想定している。
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