日本航空(JAL/JL、9201)は1月24日、社長交代の人事を発表した。新社長には、整備本部長とグループの整備会社JALエンジニアリング(JALEC)社長を務める赤坂祐二常務執行役員(56)が4月1日付で就任し、現社長の植木義晴氏(65)は代表権のある会長に退く。赤坂氏は、6月開催予定の株主総会で代表取締役に就く見通し。
赤坂氏は、1962年北海道札幌市生まれ。東京大学大学院の工学系研究科航空学専攻を修了後、1987年4月に技術系総合職(現在の業務企画職技術系)としてJALに入社した。入社後は整備士として現場で機体整備に従事し、2009年4月に安全推進本部部長兼ご被災者相談部長、2014年4月に執行役員整備本部長とJALEC社長に就任。2016年4月に常務執行役員に昇格した。
植木社長は赤坂氏を新社長に選んだ理由について、「これまで長年にわたり、整備や安全を担う部門を経験し、安全運航の堅持に貢献してきた。今後はリーダーシップを遺憾なく発揮できる人物」と説明した。
赤坂氏は、「長年オペレーションを毎日全力でやってきた。現場では毎日いろいろなことが次々に起こり、クリアしなければならない。そのことで、瞬発力や粘り強さが鍛えられた」と自らの強みを述べた。今後の事業展開は、「規模を追うより、収益性確保が前提」と、破綻後のJALが歩んできた収益重視の路線を踏襲する考えを示した。
2010年1月19日の経営破綻後、JALの社長は整備出身の大西賢会長、パイロット出身の植木社長と、現場に近い経営者が続いている。植木社長は「そのことを重視して次の社長にしたわけではない。一番適切だったのが彼(赤坂氏)で、たまたま整備出身だった」と述べた上で、「経営の非常に近いところに、現場を経験した人が一人はいて欲しい。航空会社の神髄がわからない」と、現場を重視する必要性にふれた。
JALの整備部門トップを務めてきた赤坂氏は、「これまで以上に航空安全に対する思いが、さらに重く重要に感じる」として、安全運航に注力していく考えを示した。
植木社長は、退任時期について「2012年1月に稲盛和夫会長(当時)から就任依頼があった際、何をやるべきか、いつまでやるべきかの期間設定を行った。ゴールが見えないレースはなかなか走れない。4年では短すぎるので、6年を目標としてやろうと考えた」と明かした。
「自分の中のエネルギーが空っぽになる前に引き継ぎたい。それが今年だった」(植木社長)と語った。
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日本航空
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